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「この取材以来、我が家も…」睡眠研究の権威に会って、今までの常識を覆された

編集部日記 vol.35

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「寝ても疲れが取れない」「午後になると眠くなってくる」

 この編集部に移って3年目になりますが、いまだに仕事のペースがつかめず、目下最大の悩みは、充実した睡眠が取れていないことです。仕事柄、深夜に帰宅することも多く、締切が迫る時期には3、4時間睡眠は当たり前。せめて土日に「寝だめをしよう」と布団に長くもぐりこんではいるものの、浅い眠りをダラダラと続けるばかりで、起きても爽快感はなく、月曜日も疲れが溜まったままという状態です。これでは仕事の能率だって上がりません。思えば、心の底から「よく寝た!」と思えた日は、久しくない気もします。

 そんな寝不足のある日、デスクから「今度の号で睡眠特集をやるよ」と声をかけられました。聞いてみれば、現在50代の編集長も深夜に目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けないことに悩んでいたとのこと。それが、今回の企画立ち上げのきっかけだったそうです。なにはともあれ、私自身も「これはボロボロの睡眠習慣を立て直す千載一遇のチャンス!」と喜び勇んで取材に臨んだことは言うまでもありません。

 今回、私がインタビューしたのは、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構で機構長を務められている柳沢正史先生です。睡眠研究の国際的な権威で、昨年秋にはノーベル賞候補にも名前が挙げられたほどです。

柳沢正史教授 ©文藝春秋

 取材では「必要な睡眠時間は?」「夜型は直せる?」「昼寝は何分するのがいい?」など、日頃から抱いていた疑問や悩みを遠慮なくどんどんぶつけたのですが、柳沢先生は一つ一つにとても丁寧に答えてくださいました。

 とりわけ私が衝撃を受けたのは、以下の2つのお話でした。

「睡眠は長さだけでなく、規則正しくとることも大切です。例えば、毎日7時間の睡眠を確保している人に比べて、1週間に10時間眠る日があれば、4時間しか眠れない日もある、あるいは日によって遅寝になったり、早寝になったりするような不規則な生活を続けている人は、心臓病や脳卒中などの循環器疾患を発症するリスクが高い」

 これまで私は睡眠時間の確保ばかりにとらわれていました。それだけに睡眠には規則正しさも重要であるという事実に驚きましたし、それが健康リスクにも繋がるという科学的なデータもあることを教えられ、今の不規則な生活リズムを改める必要性を痛感しました。

 もう一つの指摘も印象的でした。

「光には覚醒作用があり、明るい場所ではリラックスしづらいのです。とくに日本の住宅は夜の室内が明るすぎる。欧米のホテルや雰囲気のよいレストランは間接照明などで薄暗いと感じますが、自宅でも夜のダイニングやリビングは、その程度の明るさが最適です」

 この取材以来、早速、我が家の照明は薄暗くして、できるだけ眠りに入りやすい環境を作るようにしています。

 気が付くと取材はあっという間の2時間超え。それでも最後まで「ほかに質問はありませんか?」と確認しながら、睡眠の重要性を伝えようとしてくださる柳沢先生の真摯な姿が印象的でした。そのすべてが「文藝春秋」2月号の「睡眠は最高のアンチエイジング 7時間睡眠を取り戻す12のメソッド」の記事に詰め込まれています。柳沢先生の解説は、これまでの睡眠に関する常識を悉く覆すような、目から鱗の話ばかりです。

(編集部・祖父江)

source : 文藝春秋 電子版オリジナル

genre : ライフ ライフスタイル 医療