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「滅多にないことだけど、『いいの、書いた!』と思った」直木賞受賞作『八月の御所グラウンド』について万城目学さんが語っていた“たしかな手応え”

直木賞受賞作・万城目学『八月の御所グラウンド』

 2024年1月17日に行われた選考会で、第170回直木賞を『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)で受賞した万城目学さん。

 2006年の作家デビューからわずか1年、2007年に『鹿男あをによし』(幻冬舎)が初めて直木賞候補に選ばれてから、この17年で5度も作品が候補となってきたが、残念ながら選外が続いたが、今回6度目のノミネートでの悲願の受賞となった。

第170回直木賞を受賞した『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)

飄々としたキャラクター、でも、ときには本音が……

 直木賞選考委員の林真理子さんが、受賞作について「日常にふわっと入り込む非日常が、本当に巧みに描かれている」と評したように、万城目さんはこれまで日常と非日常が思いもよらない形で交わっていく物語を書いてきた。いずれの作品も、どこか飄々としていて味わい深く、予測不能の面白さや感動に満ちている。本作もまた、その「万城目ワールド」の面目躍如たる作品といえるだろう。

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 万城目さんご自身もまた飄々として、実に味わい深いキャラクターの持ち主。受賞会見での受け応えでも「(選考会当日は)とれるわけないと思って、すねていた。作家の森見登美彦さんたちと脱出ゲームをやっていた」「(直木賞受賞について)たまに隣に来るけど目線が合うことなく別れてきた。今回『多生の袖が触れ合った』感じですね。ここから先はよくわかりません」といった調子。自身の作風についても「ストレートを投げようとしても、ナチュラルにスライダーになってしまう」と、発する言葉もまた「万城目ワールド」全開だ。

「滅多にないんですけど、『いいの、書いた!』と思えた」

 だが、ときにはストレートに本音を語ってしまうことがあるようだ。

 2023年8月、受賞作が刊行されたタイミングで、万城目さんはTBS系の「王様のブランチ」でインタビューを受けている。作品の舞台であり、万城目さんも学生時代を過ごした京都の鴨川べりをインタビュアーとともに歩きながら、思わず発した一言に、本作への自信が込められている。

「滅多にないんですけど、『いいの、書いた!』と思えた作品です」

 今回は、その昨夏のオンエアの模様をダイジェストでお伝えするーー。