F1界の“帝王”と呼ばれた男、エンツォ・フェラーリの情熱と狂気に満ちた生き様を圧倒的熱量で描く衝撃の実話『フェラーリ』が絶賛公開中!
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エンツォ・フェラーリの伝記映画を撮影する大きな課題のひとつは、撮影で使う車両の調達だった。ときに1億ドルもの値がつくオリジナルカーを使うことは困難なため、今回用いられたのが、当時のオリジナルカーを3Dスキャンするという方法である。
マン監督からレースカーの再現を頼まれたと振り返るのは、車体製造業者のリタ・カンパーナ。彼女によれば車体は2種類製作され、1つはグラスファイバー製、もう1つは、クラッシュシーンをリアルに見せるために必要だったという金属製の事故用車だった。
この車体製作のプロセスを指揮したのが、業界トップクラスのスタント・ドライバー、ロバート・ネーグルだ。ネーグルは、『コラテラル』のスタント・パフォーマーや『ALIアリ』『インサイダー』の運搬スタッフとして、マン監督の下で従事した経歴を持ち、レースカー設計の機械工学に精通しており、マシーンをゼロから作る知識があったのだ。
作品を知ったポルシェオーナーが「1957年のマシーンを使うか?」
ネーグルはさらに「私たちが造ったレースカー以外にも、その年限定のミッレミリアのオリジナルカーを集めた。例えば、作品に登場するベンツ300SLは、すべてその年のオリジナルだ。オリジナルのフェラーリも何台かある。
ポルシェに関しては全てオリジナルだ。作品の噂が広まって、オリジナルカーのオーナーたちが『ミッレミリアを走った1957年のマシーンを所有しているが、映画で使うか?』とプロダクションに問い合わせてくれたんだ」とコメントしており、自動車オーナーも巻き込んで撮影が進められたことを明かしている。今や目にすることも難しい、クラシックな名車たちがあちこちに登場するレース会場シーンは、車ファンならば一時停止をして何度も観たくなること必至だ。
カンパーナやネーグルらのこだわりに、およそ20年にわたりレースドライバーとして活躍した経験を持つキャストのパトリック・デンプシーは「手で作るものには魂が宿る」と賛辞を送り、自身も大のフェラーリファンであるマン監督も「70年前に作られたものは他にもあるが、フェラーリは美術品のようにずば抜けて美しい。エンツォはエンジンに注力した。その結果、外観の美しさも備えたんだ」と、フェラーリの美学を熱く語った。
撮影で使用したレースカーの製作に密着した特別映像がこちら。3Dスキャンを用いた車体作成から鍛接、塗装など職人の技を堪能できる映像だ。
一流スタッフたちがその才能を惜しみなく注ぎ込んで作られた映画『フェラーリ』は絶賛公開中!自動車業界の伝説的人物のオペラのごときドラマ、そしてミッレミリアのレース・シーンの激闘をぜひスクリーンで堪能してほしい。
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『フェラーリ』
INTRODUCTION
1991年に原作が出版されて以来、30年以上に及ぶ構想期間を経て、マイケル・マン監督が執念の映画化。1957年のフェラーリにとって激動の1年を描く。
エンツォ・フェラーリにアダム・ドライバー、その妻ラウラにペネロペ・クルスが扮し、情熱と狂気の狭間にある複雑な男女関係を演じる。
レースシーンを再現するにあたり、貴重なオリジナルカーをもとに精緻なレプリカを製作したほか、当時の車両も多数参加。迫力のレースシーンを再現した。
STORY
1957年、設立から10年経ったフェラーリ社はライバルの台頭によって乗用車の売上が減り、破産寸前の危機に瀕していた。前年に一人息子のディーノを亡くしてエンツォとラウラとの夫婦間は冷めていたが、共同経営者だけに切っても切れない関係性にある。
エンツォには婚外子のピエロもいたが、当時のイタリアでは認知も叶わず、その存在をラウラに知られ悩みは深まるばかり。会社と夫婦の危機がのしかかるなか、全てを失う危機感を抱いたエンツォは、社運を賭けて公道レース「ミッレミリア」に挑む──。
STAFF & CAST
監督:マイケル・マン/原作:ブロック・イェイツ著『エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像』/出演:アダム・ドライバー、ペネロペ・クルス、シャイリーン・ウッドリー/2023年/アメリカ・イギリス・イタリア・サウジアラビア/132分/配給:キノフィルムズ/7月5日公開
提供/(株)キノフィルムズ