大友克洋や宮﨑駿の描くキャラクターを参考に！映画『動物界』仏バンド・デシネ作家によるコンセプトアートが解禁

　2023年、フランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞で、一本の破格の衝撃作が異彩を放った。フランス映画のイメージを根底から覆すその作品『動物界』は、日本でも話題となった『落下の解剖学』を凌ぐ最多12部門のノミネートを達成し、同国で観客動員100万人越えの大ヒットを飛ばした。その舞台は、人間が様々な動物に変異する奇病が蔓延している近未来。人種差別、移民、ルッキズム、感染症など現代的なテーマを内包し、ファースト・シーンから観客を釘付けにする“突然変異”のアニマライズ・スリラーが、あなたの想像力を刺激する。

　最愛の家族を守り抜こうとするフランソワを演じるのは、ジャック・オディアール監督の『真夜中のピアニスト』（05）、フランソワ・オゾン監督の『彼は秘密の女ともだち』（14）などでセザール賞主演男優賞に5度ノミネートされた実績を誇るロマン・デュリス、今大注目の新星ポール・キルシェ、『アデル、ブルーは熱い色』（13）のアデル・エグザルコプロスら、フランス映画界を代表する豪華実力派が集結し、作品の深みを生み出している。

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　監督・脚本を務めたのは、2014年のデビュー作『Les Combattants（英題：Love at First Fight）』で数々の賞に輝いた新鋭トマ・カイエ。「『ロブスター』の系譜に生まれた、極上の家族ドラマ（DEADLINE）」、「革新的なビジュアル（SCREEN DAILY）」、「2023年度フランス映画の頂点（CHALLENGE）」と批評家たちからも絶賛を受けたその才気は、類いまれなスケールの大きさを感じさせる。

バンド・デシネ作家が考案！人間が動物化していく“新生物”のコンセプトアートを公開！

　人間の身体が動物化していくという奇病が発生した世界が舞台となるSF映画である本作。病にかかった者は“新生物”と呼ばれるようになり、人間はその未知の存在を恐れるあまり従来の居住地から排斥しようとする。人間と新生物のいびつな関係性や共生の在り様を問う、そんな新生物の奇抜な姿は本作の予告編でも確認できるが、新生物の造形デザインはバンド・デシネ（フランス語圏の漫画の総称）作家のフレデリック・ペータースが手掛けている。この度貴重なコンセプトアートが解禁！

　デフォルメの効いたユーモラスな画風を特徴とし、過去作であらゆる種類のものがハイブリッド化していくという物語を描いていたフレデリックに目を付けたトマ・カイエ監督からのオファーで、今回のコラボレーションが実現。監督は「新生物たちをフィクションの存在ではなく、現実の自然界に実在するものとして作り上げたかった」と語っており、リアリティ溢れる新生物のデザインを求めていた。昼と夜で姿が変わったり戻ったりするのではなく、時間の経過に合わせて徐々に動物化が進行していくこともこだわりのひとつだ。そうしてフレデリックの描いたコンセプトアートをもとに、俳優たちの骨格にあわせた動物とのハイブリッド化を提案し、リアリティ溢れる新生物を作り上げていった。

　フレデリックは「キャラクターをデザインするにあたり、ヒエロニムス・ボスやマティアス・グリューネヴァルトなどの古典絵画に書かれたクリーチャーから、同じくバンド・デシネ作家のメビウス、そして日本から大友克洋や宮﨑駿にいたるまでいろいろな作品を参考にしているんだ」と日本を代表するアニメーション映画監督らの作品もお手本にしたと明かしている。

　また監督はリアリティを追求するため、なるべくCG技術に頼らず特殊メイクや衣装、俳優の演技力で人間を動物化させることを望んだという。「映画創成期のジョルジュ・メリエス並みに、手作りのものから高度なテクノロジーまで総動員したよ。常に混合させようと、毎回試してた。わくわくしたけど、気が遠くなるような作業だった。できるだけ有機的な映像を追求したんだ」と撮影を振り返っている。

　バンド・デシネ作家のユニークなアイディアから生まれたリアルな新生物の姿をぜひ劇場のスクリーンで堪能してほしい。

提供／（株）キノフィルムズ