いま「AGA治療」で検索すると、びっくりするほどの数のクリニックがヒットする。オンラインで申し込むと、薬のパッケージセットが自宅まで送られてくるサブスク治療も増えてきた。それと同時に「ちゃんと診てくれない」「薬の副作用が怖い」という声も聞こえてくる。いまAGA治療の現場で何が起こっているのか。安心して治療してもらえる病院を見極めるポイントはどこなのか? 取材をしてみると、「医療として当たり前のこと」が軽視されている現状が見えてきた。

胸がドキドキ。それって副作用? 

「今年の春、オンラインでAGA治療がうけられるという広告をみて、早速申し込んでみました。30歳を過ぎた頃から髪の毛が薄くなってきたような気がして、一度診てもらいたいと思っていたんです。でも、平日病院まで足を運ぶのも面倒くさいし、オンラインなら便利かなと……」

 こう語るのは35歳の会社員Aさん。自分の髪の毛がいまどういう状態か自己申告し、簡単な問診をすませると、すぐに薬を処方してくれることになった。

「後日、自宅に送られてきた薬を飲んだんですが、胸がドキドキすることがあって……。あわててそのクリニックに問い合わせたんですが、あまりちゃんとした説明はありませんでした。それで怖くなって、結局治療はやめてしまったんです」

「ちゃんと診察してもらえない」「薬の副作用が心配」

 対面での治療をメインでやっているAGAクリニックでは、ここ1、2年、そんな不満、不安を抱えた患者が急増しているという。いま受けている治療では安心できないということで、セカンドオピニオンを求めて来院してくるのだ。

 なぜ、そのような事態になっているのか。これまでに累計185万人の対面による治療実績をもつ銀座総合美容クリニック(銀クリ)で訊いた。

「まず大前提として、AGA(男性型脱毛症)の治療はまだまだ新しい治療で、誰もが簡単な治療で一律に満足な結果を得られるものではないという事。髪を生やすというのは決して簡単なものではないという事です。AGAは髪の寿命を短くする悪玉男性ホルモン=ジヒドロテストステロンが原因です。通常のヘアサイクル(毛周期)の5倍以上の速さでめまぐるしく髪の毛が生え変わるようになり、髪の毛を作り出す毛母細胞は時間の経過とともに弱っていって、最終的には髪の毛を生やすことができなくなってしまいます。

 その悪玉男性ホルモンをブロックする治療薬や、毛母細胞を刺激して発毛をうながす治療薬を組み合わせて治療するわけですが、その用量、濃度、服用方法は患者さんの状態によって違ってくるんです」

©AFLO
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「薬さえ飲めば」というミスリード

 薬さえ飲めばAGAは治る。実は、最初に登場したAさんもそう思っていた1人だ。

「どこのクリニックに行っても、処方される薬は同じ。それだったら、安いところでいいかなと……」

 AGA治療というのは1999年頃から始まった比較的新しい治療で、今のところ発毛の治療に用いることができる薬剤の種類は少ない。そこをうまく利用したミスリードに、Aさんはまんまとのせられたわけだ。

「症状に応じた用量、濃度でなければ、効果は期待できません。さらに気をつけなければならないのが、薬の副作用です。たとえば、発毛をうながすミノキシジルは、もともと高血圧症の薬として開発されたものです。ですから、高血圧症のような循環器系の病気をもっている人が使う場合には注意が必要です。また、悪玉男性ホルモンをブロックするフィナステリドやデュタステリドは、前立腺肥大症の治療薬として開発されたもので、まれに性欲減退や勃起機能不全といった副作用が出る場合があります。

 当院では、定期的に必ず血液検査などを行って、患者さんの健康面をチェックします。健康状態をしっかり把握したうえで薬を処方するわけです。さらに、処方時に副作用や服用時の注意点などを説明し、患者さんに十分理解してもらうようにしています」

 Aさんの「胸がドキドキ」も、おそらく薬の副作用なのだろう。ちゃんとした説明がなければ、怖くなるのも無理はない。

「AGAの治療効果には個人差があります。毛髪が順調に成長して、半年で維持期間に入る人もいれば、1年経ってもそれほど変化が出ない人もいます。患者さん一人ひとりの途中経過をしっかり観察しながら、個別に薬の用量、濃度、服用方法などを調整していくのが、AGA治療においていちばん重要なポイントなんです。場合によっては、他の薬剤を追加して、効果のブーストアップを図ることもあります」

 様々な症状にどのように対応していくか。銀クリでは業界最多の治療実績をもとに、この20年間で独自のノウハウや技術を培ってきたと医師は語る。その豊富な知見に基づく細やかな対応が、治療の効果を最大限引き出すのだ。

 それに対し、薬のパッケージセットが定期的に送られてくる「サブスク治療」は、例えるなら今後1年間の夕食のメニューを事前に1種類に決めてしまうようなものだ。あっさりしたものが食べたいときも、ガツンとしっかり食べたいときも、夕食はラーメン一択。たまたま健康診断でひっかかってダイエットするように指導されたとしても、メニューを変更することはできない。これはかなり無理がある。

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きちんと診て、きちんと治す

「大切なのは、まず毛髪の状態をきちんと見極めることですね」。医師はそう語る。「ちゃんと診なければ、治療の効果は出せない」からだ。そのために銀クリでは「問診」はもちろん、専用のスキャナーをつかって目視ではわからない頭皮の状態まで見る「視診」、毛髪のボリュームや生え際の状態を実際に触って確認する「触診」を行なっている。

「最初の段階、特に初診の場合は対面が必須ですね。他の病気と同じように、患者さんの状態をきちんと評価して、それをもとに治療計画を立てる。医療行為としては、当たり前のことです。初診から100パーセント、オンラインでやろうとするのはまだ無理があるかと思います。治療開始から半年以上たって薬の用量が安定してくれば、オンラインと対面を併用するのがいいでしょうね。効率的に治療をすすめるうえで、オンラインの利便性は活用すべきです」

 ひと口飲んだら、みるみる髪の毛が生えてくる。そんな魔法の薬はこの世に存在しない。AGA治療を始めても、最初の3ヶ月は頭髪にほとんど変化は見られない。逆に「初期脱毛」で抜け毛が急に増えたりもする。そこであきらめずに地道に治療に取り組むには、やはり信頼できる伴走者が必要だ。それにふさわしいのは、多くの治療実績をもつクリニックであり、臨床経験豊富な医師だ。

 ちゃんと診て、ちゃんと治す「当たり前の医療」をやろうとしないクリニックは、まず選択肢から外すべきだ。実際に病院に出向いて、話を聞いて、信頼に足る病院かどうかを自分で判断する。それがAGA治療の第1歩となるのだ。銀座総合美容クリニック 公式サイト

INFORMATION

銀座総合美容クリニック

公式サイト:https://www.gincli.jp/
(東京院)東京都港区新橋1-9-5 KDX新橋駅前ビル 4~5階
(大阪院)大阪市北区曽根崎新地1-4-20 桜橋IMビル15階
※診療時間(完全予約制)
月・火・木・金・土 11:00~20:00
日・祝 11:00~19:00
休診日:水曜日

料金:初月1000円、2カ月目以降は、AGA治療内服薬2000円~1万9250円(※保険外の自由診療)
相談・予約は東京・大阪共通のフリーダイヤル(0120・972・335)か、公式サイトから