いつまでも若く美しくありたい。でも、もっと大事なのは豊かに健康に歳を重ねること。そのためのカギとなるのは、何を隠そう、「筋肉」であることをご存じだろうか? 歳をとっても、筋肉を維持すること。実は、この貯金ならぬ「貯筋」に「腸活」が非常に重要であることがわかってきた。2025年は、貯金・貯筋・貯菌で新生活スタートだ!

腸内細菌を増やすと筋肉が増える!

 「“貯菌と貯筋”がウェルエイジング、健康長寿の(かなめ)です」というのは、『70代、腸内細菌と筋肉で老いを超える』などの著書で知られるカリスマ消化器専門医・江田(あかし)さんだ。

江田証(えだ・あかし)自治医科大学大学院卒業。医学博士。江田クリニック院長。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器病学会専門医。著書に「すごい酪酸菌」(幻冬舎)、「新しい腸の教科書」(池田書店)、「70代、腸内細菌と筋肉で老いを超える」(さくら舎)のほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「午後LIVE ニュースーン」(NHK総合テレビ)、「医療ルネサンス」(読売新聞)など、メディア出演も多数。
江田証(えだ・あかし)自治医科大学大学院卒業。医学博士。江田クリニック院長。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器病学会専門医。著書に「すごい酪酸菌」(幻冬舎)、「新しい腸の教科書」(池田書店)、「70代、腸内細菌と筋肉で老いを超える」(さくら舎)のほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「午後LIVE ニュースーン」(NHK総合テレビ)、「医療ルネサンス」(読売新聞)など、メディア出演も多数。

 貯菌とは、良い腸内細菌を増やすこと。貯筋は、筋肉を増やすことだ。腸内細菌を増やすと筋肉も増えるのだろうか?

「加齢と共に私たちの筋肉は細くなっていきます。これをサルコペニア(筋肉減少症)と言います。HDAC(エイチダック)(ヒストン脱アセチル化酵素)という酵素が筋肉を弱めてしまうからです」

 ところが近年、長寿で知られる京都府の京丹後(たんご)地域の65歳以上の高齢者を対象としたコホート(集団)研究でわかったことがある。この地域の高齢者たちには筋肉量が多いこと、そして、ある腸内細菌が多いのだ。それがまさに「酪酸(らくさん)菌」だった。※1

「クロストリジウム・ブチリカムという腸内細菌は酪酸菌を産生し、この酪酸菌がHDACという酵素を阻害します。ですから、酪酸菌が多いと筋肉をしっかりと維持できるのです」

 ウェルエイジングとは、老いにあらがうのではなく、豊かに健康に歳を重ねること。つまり、「病気予防や健康増進」で、いつまでも元気に暮らせるようにすることなのだ。しかし、ウェルエイジングは決して高齢世代だけの関心事ではない。貯菌と貯筋は若いうちから始めて長く続けることが大切だからだ。

貯菌と貯筋の“利子”は健康長寿?

 貯“筋”をすると、利子ならぬメリットがたくさんついてくる。筋肉からはマイオカインという、さまざまな体にいい物質が出てくるのだが、このマイオカインが、全身の臓器に影響を与え、病気の予防や治療、症状改善など、心身の老化の抑制に役立っているのだ。※2

「例えばがんの治療でも、筋肉の多い患者さんほど、術後の経過が良くて長生きできます。どんな病気やケガでも筋肉は抵抗力のもとになりますし、筋肉そのものから天然の抗がん作用のあるマイオカインがたくさん出ているからです」

 いっぽう貯“菌”にも、利子がつく。

「肺がんや腎臓がんの治療で、クロストリジウム・ブチリカムという酪酸菌を服用しながら抗がん剤治療を行うと、治療効果が上がることが報告されました。また、酪酸菌を服用すると体内で酪酸が産生されますが、酪酸には免疫の暴走を抑えるTreg(ティーレグ)細胞(制御性T細胞)を増やす働きがあるため、たとえば花粉症の症状が軽くなるといった可能性が指摘されています」※3

 このように、酪酸菌は筋肉の維持の手助けをすることで、健康寿命を延ばし、花粉症からがんの治療効果まで改善させているらしいと、近年の研究で明らかになりつつある。貯菌と貯筋の大切さを、もっと多くの人に知ってほしい。江田医師の真摯な願いだ。

乳酸菌・ビフィズス菌が合わない“過敏性腸症候群”は1700万人

 筋肉を増やすには、筋トレをしてタンパク質を摂取する、というのが正攻法だ。江田医師は「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛えるスクワット」を推奨する。

「健康寿命の増進や病気抑制に効果のあるマイオカインは、下肢の筋トレでよく分泌されることがわかっています。体を温めてから筋トレを行うと効果的だとわかっています」※4

 だが実は、貯筋にはもっと効果的な方法がある。貯菌だ。では、どんな腸内細菌を貯菌すればいいか? それが「酪酸菌」なのだ。

「酪酸菌は腸内で酪酸という短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)の一種を作り出します。この酪酸には筋肉を溶かしてしまうHDACを阻止し、加齢による筋肉減少を抑制する働きがあります」

 ところが、残念なことに酪酸菌を含む食材は少ない。ぬか漬けや臭豆腐(しゅうどうふ)(納豆菌と酪酸菌で発酵させた漬け汁に豆腐を漬け込んだもの)くらいだと言われている。いずれも簡単にたくさん食べられるものではない。そこで江田医師は、酪酸菌そのものと酪酸菌のエサになる食材を一緒に摂ることを推奨している。

「海藻類やキノコ類は水溶性食物繊維が豊富なので、途中で吸収されずに大腸まで届きます。そこで酪酸菌に食べられて、酪酸菌を増やします。酪酸菌が増えれば、酪酸も増えるという仕組みです」

 ただし、これは下痢などのおなかの不調がない人の場合だ。実は、おなかの調子が悪くて受診しても原因がわからない“過敏性腸症候群(IBS)”に悩む患者さんが1700万人を超えている。その多くは、大腸の手前の小腸内に細菌が過剰に増殖する“小腸内細菌異常増殖症(SIBO)”を併発しているケースが少なくない。

過敏性腸症候群(IBS)や小腸内細菌異常増殖症(SIBO)の患者においては、酢酸やプロピオン酸を過剰に作り出す腸内細菌が多く、腸の健康を保つ酪酸が減少してしまう。これによって、腸管のバリア機能が低下する。乳酸から酪酸が産生されるか、酢酸とプロピオン酸が産生されるかによって、お腹の症状が改善するか悪化するか、大きく運命が分かれるということだ。
過敏性腸症候群(IBS)や小腸内細菌異常増殖症(SIBO)の患者においては、酢酸やプロピオン酸を過剰に作り出す腸内細菌が多く、腸の健康を保つ酪酸が減少してしまう。これによって、腸管のバリア機能が低下する。乳酸から酪酸が産生されるか、酢酸とプロピオン酸が産生されるかによって、お腹の症状が改善するか悪化するか、大きく運命が分かれるということだ。

「そういう原因不明のおなかの不調を抱えている人が食物繊維を摂ると、下痢などの症状が悪化してしまいます。また、乳酸菌やビフィズス菌などから産生される過剰な短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸)も、症状悪化の引き金となります。実際、過敏性腸症候群の人では、酢酸とプロピオン酸が多い人ほど、腹痛やお腹の張りが強いことが発表されています。ですから、症状を抑えるために食物繊維の少ない食事をして、酪酸菌そのものを摂取するとよいことが報告されています」※5

酪酸菌を主成分とした整腸薬で
腸内環境を整える

90年前、日本人の腸から発見された酪酸菌「宮入菌(みやいりきん)®」のパワー

 腸活に手軽に酪酸菌を取り入れる方法として、ミヤリサン製薬が出している、宮入菌を主成分とした整腸薬の“強ミヤリサン®(錠)”がある。

「宮入菌は90年以上前に、日本人の腸から発見、採取された酪酸菌です。まさに日本人に合う腸内細菌なのですが、食生活の変化の影響か、現在では日本人の腸内にはほとんど見られなくなっているということです」

 宮入菌の強みは、芽胞(がほう)という強い膜に覆われているので、胃液や胆汁酸や消化酵素などの影響を受けにくく、菌が生きたまま大腸まで届くことだ。病院では「ミヤBM」という名前で処方されるが、薬局では指定医薬部外品「強ミヤリサン®(錠)」として、医師の診断や処方がなくても、ドラッグストアなどで気軽に購入できる。

 便秘や軟便などの症状がなくても服用していいのだろうか。

「大丈夫です。宮入菌は大腸内に届いて酪酸菌を増やし、有害菌の働きを抑えることにより、腸内環境を整えます。症状がない人でも、ふだんから腸活の一環として常用することができます。ただ、腸内細菌は便に混ざって排出されてしまうので、継続して服用することが大事です」

 ウェルエイジングを目指すなら、宮入菌で「貯菌」&「貯筋」をサポートしよう!

製品情報詳細・オンライン購入は
こちら

提供:ミヤリサン製薬株式会社
https://www.miyarisan.com

※『強ミヤリサン®(錠)』は整腸薬(便秘・軟便・腹部膨満感の改善)として承認された指定医薬部外品です。

Illustrations by Ema Konamida, Photographs by MIKI

参考文献
※1
Naito Y, et al. "Gut microbiota differences in elderly subjects between rural city Kyotango and urban city Kyoto: an age-gender-matched study." Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition 65.2(2019): 125-131.

※2
Aoi W, et al. "A novel myokine, secreted protein acidic and rich in cysteine (SPARC), suppresses colon tumorigenesis via regular exercise"Gut. 2013 Jun;62(6):882-889. doi: 10.1136/gutjnl-2011-300776. 
Jia Lingling, et al. "Clostridium butyricum CGMCC0313. 1 protects against autoimmune diabetes by modulating intestinal immune homeostasis and inducing pancreatic regulatory T cells." Frontiers in Immunology 8 (2017): 1345.20

※3
Tomita Y, et al. "Association of Probiotic Clostridium butyricum Therapy with Survival and Response to Immune Checkpoint Blockade in Patients with Lung CancerProbiotic Therapy Impacts Cancer Immunotherapy." Cancer immunology research 8.10 (2020): 1236-1242.
Dizman Nazli, et al. "Nivolumab plus ipilimumab with or without live bacterial supplementation in metastatic renal cell carcinoma: a randomized phase 1 trial." Nature Medicine 28.4 (2022): 704-712.
Huang Xinyi, et al. "Butyrate Alleviates Cytokine-Induced Barrier Dysfunction by Modifying Claudin-2 Levels." Biology 10.3 (2021): 205.
Furusawa Y, Obata Y, Fukuda S, et al. Commensal microbe-derived butyrate induces the differentiation of colonic regulatory T cells. Nature, 504:446-450, 2013.doi: 10.1038/nature12721.

※4
Hayashi S, Yonekura S. "Mild heat stimulation facilitates muscle hypertrophy in C2C12 and mouse satellite cells through myokine release to the culture medium. "Biochemical and Biophysical Research Communications. 2022 Dec 20;635:161-168.

※5
Tana C, et.al. " Altered profiles of intestinal microbiota and organic acids may be the origin of symptoms in irritable bowel syndrome" Neurogastroenterology & Motility. 22.5(2010):512-519