2025年4月、新社長に就任した朝日智司氏。企業トップとしてグループをどのように率いていくのか。未来に向けてのビジョンを語ってもらった。
「人」「地域社会」「地球環境」の領域で課題に向き合う
日本生命保険相互会社
代表取締役社長
社長執行役員
今事業環境は大きく変わろうとしています。国内の人口減少、高齢化、それにともなう経済停滞、そういった課題にどう対応していくのか。不確実性の度合いはますます高まっていくことでしょう。
そこで、わたしたち日本生命グループでは、『誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会』の実現をめざして、「人」「地域社会」「地球環境」の三つの領域で社会課題の解決に向けた取り組みを進めています。
まず、一つ目の「人」の取り組み。これは、生命保険の提供や確実なお支払いはもとより、アセットマネジメントやヘルスケア、介護、保育などさまざまな領域を通じて、一人でも多くの人の人生に寄り添っていこうというものです。
さらに、地域の人たちとともに社会課題の解決に向けて努力し、貢献していく。そうすることで、安心と希望に満ち溢れた地域社会の実現をめざします。これが二つ目の「地域社会」の取り組みです。
そして、三つ目の「地球環境」。わたしたちは機関投資家として責任ある資産運用を行うことで、気候変動をはじめ、さまざまな課題に正面から向き合っていきます。それが、豊かな地球環境を後世に伝えていくことになると考えています。
今年度、新たな経営体制でスタートするにあたって、グループ全員で共有する基本方針として、「まっすぐ、お客様へ。もっと、地域、社会のために。」を掲げました。
これには、グループの根底にある「信念・誠実・努力」という当社の〈三信条〉が反映されています。それは入社以来、わたし自身の行動指針となっています。
わたしは入社して40年弱ですが、キャリアの約4分の3は国内の保険事業に関わってきました。30歳のとき、現場の管理職としてベテラン職員と共に、お客様のお宅を保険金請求のためにお訪ねしたことがあります。
一通り手続きを終えたところで、そのお客様がベテラン職員にこうおっしゃったのです。「あの時、あなたに保険を勧めてもらって良かった。本当にありがとう」と。
生命保険会社の一員として、その意義を信じ、長くお客様に寄り添い続けた結果、お客様のお役に立つことができた。これが「生命保険の真髄」なんだと、教えられました。
お客様一人ひとりの安心、幸せをとことん考え、行動すること。「まっすぐ、お客様へ」。そこから地域や社会への貢献につながっていく、とわたしは考えています。

営業職員チャネルが持つ大きな可能性
当社の基幹チャネルである営業職員チャネルは、大きな財産です。これをさらに強化していかなければなりません。
コロナ禍で最もダメージをうけたのは、この営業職員チャネルでした。しかし、それがきっかけでデジタル顧客基盤の構築が進みました。今では1000万人を超えるお客様とデジタルでつながっています。リアルとデジタルの融合が実現したことで、新たな段階にスケールアップしたのです。
この営業職員チャネルを通して、わたしたちはさまざまな社会課題解決に取り組んでいます。例えば交通安全の啓発活動や、がん検診の受診勧奨活動もその一つです。社会的使命を果たすことで、グループが提供する価値は生命保険サービスだけでなく、さらに拡大していくのです。
日本生命グループでは長期的にめざす姿として、生命保険を中心にアセットマネジメント・ヘルスケア・介護・保育などのさまざまな安心を提供する「“安心の多面体”としての企業グループ」を掲げています。
社会課題に正面から向き合うことで安心をお届けする。その活動を日本生命グループはこれからも推進していきたいと思っています。
このインタビュー動画はこちらからご覧いただけます。
photo(portrait):Miki Fukano
出典元
【文藝春秋 目次】前駐中国大使が渾身の緊急提言! 高市総理の対中戦略「3つの処方箋」/霞が関名鑑 高市首相を支える60人/僕の、わたしの オヤジとおふくろ
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2025年12月10日 発売
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