金曜の夕方、オフィスはすでに閑散としていた。
R社営業部の課長席には、パソコンの画面を睨みつける藤本雅也の姿があった。今週も目標の商談数には届かない。画面に並ぶ架電リストの大半には「不在」「タイミング合わず」「検討予定なし」の文字が並んでいる。
ため息をつきながら、手元のメモを見返す。新規のアポイントを取るために、今月だけで200件以上の電話をかけた。そのうち、まともに話を聞いてもらえたのは、片手で数えられるほどだ。
「……このままじゃ、まずいな」
課長を任されて2年。IT企業の法人営業チームを率いる立場として、部下たちの数字にも責任がある。自分自身が率先して新規顧客の開拓に走り回っているのに、テレアポの反応は悪くなる一方。少しでも営業先を増やすべく展示会に出展しても、名刺を交換した相手のほとんどは、その後音沙汰がない。
新しい見込み客を見つけなければ——。その一念だけが、藤本の頭の中を支配していた。
「それがそもそも間違いなんだよ」旧友から指摘された“思い込み”
その夜、藤本は大学時代の友人である中村と、駅前の居酒屋で向かい合っていた。中村はR社の競合にあたるT社で、藤本と同じく営業部門のマネージャーを務めている。業界の噂話で、最近T社がかなり業績を伸ばしているらしいことは耳に入っていた。
「中村、おまえのところ最近調子いいんだって? どこでそんな数の新規のお客さんを見つけているんだ?」
ビールのジョッキを置きながら藤本が切り出すと、中村は少し驚いたような顔をして、それから笑った。
「新規のお客さん? いや、藤本、それがそもそも間違いなんだよ」
「……間違い?」

「おまえ、一度断られた見込み客とか、しばらく連絡が途絶えている見込み客、どうしてる?」
藤本は答えに詰まった。正直に言えば、“失注”のラベリングをして、そのまま放置している。次の新しいターゲットを探すほうが生産的だろうと思っているからだ。
「……まあ、そういう見込み客はもう脈なしだろうと思って、リストの下の方に沈んでるな」
中村はゆっくりと首を振った。
「俺が最近力を入れているのは、まさにそこなんだ。一度失注したり、休眠状態になった見込み客にこそ、実はチャンスがある」
中村の話はこうだった。
検討意欲には“波”がある。一度断られたからといって、その見込み客が永遠に製品を不要だと思っているわけではない。予算の都合、タイミング、社内の体制変更……さまざまな理由で「今じゃない」と判断しただけで、半年後、1年後にまた検討が始まることは珍しくないのだという。
「でも、その“波”がいつ来るかなんて、わからないだろう?」
「それがわかるんだよ。メールを上手く使えばね」
中村は言った。定期的にメールで接点を持ち続けることで、見込み客の記憶の中に自社の存在を残しておく。そうすれば、検討が再開したときに“最初に思い出してもらえる会社”になれるのだと。
「いわば、思い出してもらうための接点づくりだ」
藤本は黙って聞いていた。頭の中で、これまで放置してきた何百という顧客の顔がちらつく。あの人も、この人も、ただ“今じゃなかった”だけなのだろうか。
「……でも、メールをしょっちゅう送ったら、嫌がられないか?」
藤本の懸念に、中村はあっさりと答えた。
「俺も最初はそう思ってた。でもな、いいツールを使えば、その心配はなくなる。俺のところでは『楽楽メールマーケティング』っていうサービスを使ってるんだけど……」
担当者が告げた驚きの事実「失注顧客の8割が、実は……」
翌週、藤本は中村から聞いた「楽楽メールマーケティング」から話を聞いてみることにした。
オンラインでの打ち合わせに現れた担当者は、藤本の状況をひと通り聞いたあと、静かにこう切り出した。
「藤本さん。実は失注したと思い込んでいた見込み客が、その後競合の製品を購入する確率は約8割というデータ※があるんですよ」
※米SiriusDecisions社のリサーチレポートに基づく
藤本は思わず声を上げた。
「8割……?」
「はい。つまり、一度は御社に興味を持ってくれた方々が、接点が途切れた結果、他社に流れてしまっている可能性が非常に高いということなんです」
藤本の肩に、8割という数字が重くのしかかる。自分が“脈なし”と判断して放置してきた見込み客たちが、気づかないうちに競合の手に渡っていた。新しい顧客を必死に探していたその裏で、すでに手元にあったはずのチャンスが、ぽろぽろとこぼれ落ちていたのだ。
「大切なのは、見込み客の頭の中に自社の存在を植えつけておくことです」と担当者は続けた。
「見込み客が再び検討を始めたとき、最初に思い出してもらえる存在でいれば、候補に入りやすくなる。そのためには、定期的なメール配信で接点を維持し続けることが有効です」
さらには、再検討を始めたことを検知しアプローチすることもできるのだという。それを叶えるのが、「楽楽メールマーケティング」の特徴的な機能のひとつである「来訪通知」。自社のWebサイトの指定したページに見込み客が訪れると、誰が来訪したかをリアルタイムで通知してくれる仕組みだ。

「定期的にメールを配信しますよね。そのメールをきっかけに、過去に検討してくれた方が御社のWebサイトを見に来ることがあります。中でも、料金ページや製品紹介ページへの来訪は、検討意欲が再燃しているサインです。来訪通知を使えば、その波をリアルタイムで捉えることができるんです。
検討意欲が高まっているタイミングで、的確にアプローチする。そうすることで、闇雲に新規を追いかけるよりも、はるかに効率よく受注のきっかけを掴むことができます」
中村が言っていた“波”は、ただ待っていただけではなかった。藤本の頭の中で、ぼんやりとしていたものが、急速に形になっていった。
しかし、まだ引っかかる。
「正直に言うと、メールを定期的に作って配信するのは、かなり手間がかかるイメージがあるんです。うちのチームにそこまでのリソースがあるかどうか……」
担当者は穏やかにうなずいた。
「そうおっしゃる方は多いです。ですが、実はメールってそこまで作りこむ必要はないんですよ。一度メールの“型”を作成してしまえば、サービス紹介・導入事例・お役立ちコンテンツなどを差し込み、送るだけで十分です」
さらに、営業担当ごとの差出人情報で一斉配信ができるため、機械的な一斉送信ではない、“いつもの担当者からのメール”に見えるのだという。
「メールを作って送り続けるのは手間だしネタが続かない、メールは嫌われる。その2つの理由で、多くの営業マネージャーの方がメールを遠ざけています。でも、実際はどちらも思い込みにすぎません」
担当者の言葉に、藤本は自分の中の壁が崩れるのを感じた。
「楽楽メールマーケティング」の
豊富な機能をもっと知る
ついに来た「来訪通知」の相手は、なんと……
「楽楽メールマーケティング」の導入を決めてから、1か月が経った。
藤本のチームでは、週に1回のペースでメール配信を始めていた。内容は大げさなものではない。業界のトレンド情報や、自社の活用事例を簡潔にまとめたもの。テンプレートを使えば、作成にかかる時間は驚くほど短かった。
その日、藤本のパソコンに来訪通知が届いた。
通知に表示された名前を見て、藤本は目を疑った。半年前に「今回は見送ります」と言われて以来、一度も連絡を取っていなかった見込み客だ。その見込み客が、料金ページと導入事例のページを閲覧している。
藤本はすぐに電話をかけた。
「あ、藤本さん! ちょうど御社のことを調べていたところだったんですよ。実は、来期の予算で改めて検討することになりまして……」

まさに、中村が言っていた通りだった。“波”が再び訪れていたのだ。もし来訪通知がなければ、このタイミングを見逃していただろう。そして、見込み客はまた別の会社に流れていたかもしれない。
電話を終え、商談のアポイントが確定したとき、藤本の手は少し震えていた。
夕方、デスクを片付けながら、藤本はここ数か月の自分を振り返った。新しい見込み客を見つけなければ——。その思い込みに支配されて、来る日も来る日も新しいリストに電話をかけ続けていた。断られるたびに焦り、焦るたびにまた新しいリストを求めた。
でも、本当に必要なものは、すでに手元にあった。一度は接点を持った見込み客。名刺を交換し、提案書を作り、見積もりまで出した相手。その人たちとのつながりを、自分は切ってしまっていたのだ。新しい顧客を作るということは、新しい人を探しに行くことではない。今いる見込み客から引っ張ってくること。それが、実は確実で、効率的な道だった。
パソコンを閉じる前に、藤本はもう一度、来訪通知の画面を開いた。新たに3件、Webサイトへの来訪が記録されている。どれも、かつて“失注”のラベルを貼った見込み客だった。
藤本は静かに笑った。そして、すぐに過去のやり取りを確認し、受話器へと手を伸ばした。楽楽メールマーケティングはこちら

※この物語はフィクションです
