佐藤二朗が映画にすべく執筆するがその過激なテーマと特殊な世界観ゆえに、お蔵入り寸前となっていたオリジナル脚本が編集者の目に留まり、永田諒の作画によって漫画化した「名無し」。数奇な運命を背負い“名前のない怪物”と化した男の希望と絶望、そして狂気を描破するこのサイコバイオレンスは好評を博し、“映像化不可能”の烙印を覆し昨年10月、瞬く間に映画化が決定した。

©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会

 自ら生み出したキャラクター“名無し”を演じるのは、『爆弾』(25)で冴えない中年男の皮を被った知能犯・スズキタゴサク役を怪演し、第49回日本アカデミー賞・最優秀助演男優賞受賞をはじめ、様々な映画賞を席巻している佐藤二朗。得体の知れない人間を演じさせたら右に出る者はいない唯一無二の個性と、セリフを徹底的に排除し、これまでのパブリックイメージを真っ向から覆す“静”の狂気を体現した。共演には、近年俳優としての評価を高め続ける丸山隆平、タレントの枠を超え女優、プロデューサー、実業家としても活躍するMEGUMI、同じ演劇畑出身の佐藤の熱望に応えて駆けつけた佐々木蔵之介が名を連ねた。そして『悪い夏』『嗤う蟲』(25)などで知られる当代屈指の映画職人・城定秀夫監督が劇中に仕掛けられた謎とタブーに潜む深い闇をえぐり出す。見えない刃が光るとき、切り裂かれたスクリーンの向こうから、名もなき怪物の魂の叫びが日本を震撼させる。

 5月22日に公開を迎えた本作。早速“名無し”を目撃した観客からは「佐藤二朗のキャリアで一番怖い」「“芝居で殴られる”ってこういうことかと思った」と佐藤二朗の怪演に悲鳴交じりの絶賛が寄せられる一方で、「一筋縄ではいかない社会性を帯びた作品」「凄まじかった。観る側も 色んな意味で覚悟が必要」など、ただ恐ろしいだけではない人間の存在の根幹を揺らす作品であると話題に。

 そんな本作の公開を祝し23日、佐藤二朗、丸山隆平、MEGUMI、佐々木蔵之介、城定秀夫監督、豪華キャストが初めて揃い踏みする公開記念舞台挨拶が実施された。

佐藤二朗「大切なものを抱きしめたくなる映画になれば」

 満員御礼で実施されたこの日、原作と脚本、そして名前のない怪物“山田”を怪演した佐藤は「昨日から公開で本当にありがたい事に沢山のお客様が入っていただいているようで。ありがとうございます」と来場に感謝し、「今から5年前。二子玉に家族3人で行って2人がラーメンを食べている間に、なんとなく公園を一人で歩いている時に思いついたお話です」とほのぼの過ぎる誕生の瞬間を明かし、丸山からは「怖いっす!そんな穏やかな風景の中で」と作品のギャップに対するツッコミが入っていた。

©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会

 SNSには早くも絶賛評が並んでおり、佐藤は「山田太郎の凶行を対岸の火事に集まる野次馬のような気持ちで楽しんだ」という感想に対して「不謹慎を恐れずに言うならば、僕はそれでいいと思う。でも映画を観終わって劇場を後にした時に、大切なものに早く触れたい、抱きしめたいと思って家路についていただけたらという気持ちで本作に携わりました」とアンサーを送った。

 身寄りも名前もなかった少年期の“山田”の名付け親となる巡査・照夫役は「観終わった後に観客の皆さんはどのような思いでこの登壇を見ていらっしゃるのか。僕もこういう考えさせられる世界観が好きなので出演が出来てとても光栄です」と喜んだ。

 “山田”の最大の理解者にしてトリガーでもある正体不明の女性・山田花子役のMEGUMIは、佐藤とのラブシーンに触れて「二朗さんとは、邦画史上最も汚いブサイクなラブシーンにしましょうと打ち合わせしました。公開後に『本当に汚かった』というご感想を頂きまして、私たちの願った表現が皆様に伝わったんだと嬉しく思います。汚い、って言われて初めて嬉しいと思った」と手応えを得ていた。

©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会

 “山田”を止めるべく奔走する刑事・国枝役の佐々木蔵之介は、佐藤の狂気的演技に絶賛の声が上がる現状について「いまさら何を言っているの?と俺は思っている。そんなの俺は25年前から知っているぞと」などと俳優・佐藤二朗の本質が広まりつつある状況を喜んだ。

©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会

 城定監督は、高校生の息子が本作を鑑賞したことを報告し「まるで『悪魔のいけにえ』みたいで面白かったと言ってくれて、映画をわかってんなあと嬉しかった。ちなみに息子の名前は太郎です」とまさかの偶然の一致を明かしてキャスト陣を驚かせていた。

©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会

 また本作の内容にちなんで“命名”に関する印象的エピソードを発表。丸山は「僕らはグループ名を変える転機がありまして、SUPER EIGHTという名前に変わりました。メンバーと何日もかけてホワイトボードの間でああでもないこうでもないという時間があって、そんな機会を与えていただいたことによってメンバーとの絆が強くなった気がした」と改名が人生の大きな転機になったと打ち明けた。

©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会

 一方、MEGUMIは「MEGUMIっていつまでやれば良いんだろうと思う。例えば60歳、70歳と仕事を続けさせて頂いた時に、ローマ字でMEGUMIってどうなのかな?」と自身の芸名への悩みを口にして、「何がよいと思いますか?」と改名アイデアを登壇者に求めた。これにMEGUMIの苗字案として「カキツバタ」(丸山)、「清水」(佐藤)という案が挙がり、MEGUMIは「その両方で検討させていただきます!」と改名に前向きだった。

 また自身の中に潜む“怪物”を告白。佐藤は「鴻上尚史さんが僕の戯曲の舞台を観てくれた時に『二朗さんの心の中には怪物がいる』と言ってくれた」、丸山は「新月と満月の時は良くない。イライラする」、MEGUMIは「異常に元気。元気過ぎて狂気味を感じる。年齢に関係なく元気で、私の周りが気の毒」とバイタリティ溢れる日々を物語っていた。一方、佐々木は「睡魔。僕は寝たらあかん時に眠くなる」といい「サラリーマン時代に上司から『鼻毛を抜くと眠気が消える』と教えてもらってやったらパチッと目覚めるようになった」と今もそれを実践していると明かしていた。

©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会

 最後に主演の佐藤は「昨日から公開となり、本当に良いスタートを切れました。濃密な感想も多いし、僕もSNSで感想に目を通しています。規模的に大きな作品ではありませんが、皆さんの口コミで本作を育てていってほしいと思います」とさらなるヒットに期待をかけていた。

白昼のファミレスを襲った無差別大量殺人事件。防犯カメラに残された容疑者の中年男。被害者は誰もが鋭利な刃物のようなモノで切りつけられていたが、映っているはずの凶器の姿だけが目視できない。鍵を握るのは男の右手。その手が向かう先には必ず何かが起こる。目に見えない力の秘密に隠された、恐るべき真実から逃がれることはできるのか?

 

原作・脚本:佐藤二朗
出演:佐藤二朗 / 丸山隆平 MEGUMI / 佐々木蔵之介
監督・共同脚本:城定秀夫

配給:キノフィルムズ

©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会
2026年|日本|カラー|原作:佐藤二朗「名無し」(HERO’S Web)|PG12


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提供/(株)キノフィルムズ