横浜駅から徒歩10分という立地で進行中の大規模開発プロジェクト「みなとみらい21中央地区52街区開発事業」。29階建てのオフィス棟、世界初のゲームアートミュージアムや地域熱供給プラントが併設されるという注目の現場で最前線に立つのは、(株)フジタに入社して7年目の若手社員たちだ。まちづくりを支える施工管理という仕事とどう向き合っているのか、建築施工管理の穂満康平さんと設備施工管理の川本竜平さんに聞いた。

(左から)穂満康平さん、川本竜平さん。フジタ・大和ハウス工業JVの現場で活躍する

大規模プロジェクトにおける“施工管理”の仕事とは

――まずは「みなとみらい21中央地区52街区開発事業」での、お二人の仕事について教えてください。

穂満康平さん(以下、穂満) 僕は建築施工管理として、主に鉄骨工事を担当しています。鉄骨を建てたときの精度管理や搬入スケジュールの管理、溶接進捗の管理などがメインですね。今は地下階から10階まで建方が完了し、ここから29階まで、さらにペントハウスも設けられる予定です。

川本竜平さん(以下、川本) 私は設備施工管理で、4階から29階までのオフィスフロアとペントハウス階を担当しています。今の段階では図面や工程全体の調整を中心に、協力会社さんと打ち合わせを密に行なって計画を詰めながら、同じチームの現場担当の方と一緒に現場の調整も行っているところです。

――お二人は入社7年目なんですよね。若手のうちからこういった大規模なプロジェクトに携わることに、プレッシャーはないですか。

川本 正直、あります。設備工事は最後に行うイメージがあると思いますが、実は更地の状態の頃から、どこからどう電気を引き込むかというインフラ面の調整が始まり、配管が通るシャフトの大きさが足りているかや、空調の性能が十分なのかなど、すべての工程ごとに計画が成り立っているかを管理する必要があります。規模が大きくなればなるほどやりがいも大きいですが、調整ごとが増えるので、しびれますね。

 また、フジタは若いうちから一人ひとりにしっかり担当が与えられます。たとえば私は「4階から上の設備工程の方針をこうします」という発言が求められる立場なので、発言を間違えればプロジェクト全体に支障が出ます。発言の影響は大きいですが、先輩社員に支えられながらもそれを乗り越えてうまくいったときのやりがいもすごく大きいです。

穂満 プレッシャーはあります。建築の場合、スムーズに進めるためにもっとも大事なのは作業の順序です。分割された長い梁をどこで溶接するか、その場所はいつ空くか、次の資材をどこに置くか、そういったことをパズルみたいに考えています。協力会社さんとも細かく打ち合わせをして、うまく収まったときの達成感は格別ですね。

――そもそも、お二人はなぜ建設業界を志したんですか。

穂満 姉の夫が建築士をやっていて、図面を見たりするうちに建築って面白いと思ったのがきっかけです。最初は建築士を目指して、専門に勉強できる大学へ進みました。ただ、大学で施工管理という仕事を知って、実際に足場を組んだり溶接をしたり実践的なカリキュラムを受けるうちに、頭を使って段取りを組んでいくのがすごく楽しくて「施工管理をやろう」と決めました。

川本 私はもともと学校の先生になりたかったのですが、教育を専門に学ぶよりも、数学や物理が実生活でどう役立っているかを教えられる先生になりたいと思って、工学部の建築学科に進みました。そこで教職は取ったものの、「ものを残せる仕事」に惹かれて、だんだんと建築そのものに興味が移っていきました。

 それでゼネコンのインターンを探していたら、建物の途中経過を見ながら「こういう工程を組んで建てていくんですよ」と説明を受ける機会があって。それまでユーザーとして完成形しか見ていなかった建物が骨組みの状態からでき上がっていく過程を目の当たりにして、「これだ」と思いました。

 特に照明や空調のような設備は、建築の最後にポンと取り付けるものだと思っていたのですが、実は建築する段階から配線や配管を通して、“初めから成り立たせているもの”というのが衝撃的で。すごく面白そうだなと感じて、施工管理の中でも設備担当を志望するようになりました。

――その中でフジタを選んだ決め手は。

川本 就活時にOB・OG訪問で聞いた話が大きかったです。フジタの設備部門では、設備設計・設備施工・設備積算という三つの専門領域をローテーションで経験したうえで、自分の適性に合った分野に進めると聞いて。全体を俯瞰してから専門を決められるのがすごくいいなと思いました。

穂満 僕は大学のカリキュラムの中に2週間ほどのインターンが組み込まれていて、そこでOGがいたフジタの現場にお世話になったのがすべてですね。先輩社員や所長、副所長から「一緒に仕事やろう」と温かい言葉をもらって、この会社で働きたいと思いました。就活のときにはフジタ一本に絞っていたので、落ちたらどうしようかなと考えていたくらいです。

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「一番大事なのは……」“肉体労働”のイメージが覆った理由

――ゼネコンと聞くときつそうなイメージもあると思いますが、そのあたりはいかがでしたか。

川本 いわゆる「3K(きつい、汚い、危険)」みたいな話ですよね。そういう昔ながらの環境は時代的になくなってきていると感じます。このプロジェクトの事務所も、整理整頓が行き届いていて“汚い”という印象とは無縁ですし、もちろん空調はきいていて、若手もベテランも快適に働くことができる環境です。

穂満 もちろん現場にずっと出ていると忙しいこともありますが、夜12時まで働いて朝は始発で来る、みたいなのはないですね。仕事の時間の調整は自分に任されているような感じです。もっと夜中までやるイメージがあったので、そこは多少ギャップがありました。

川本 実はこの現場に来てから、二人とも1カ月ぐらい育休を取ったんですよ。上司に「取りたいです」と相談したら「お、取るか」という感じでスムーズに進みました。親戚には、今は建設業でも男性が育休を取れるんだねと驚かれました(笑)。

――たしかに、一般的な印象とはかなりギャップがありそうです。

穂満 “肉体労働”というイメージも強いと思いますし、僕もそうなのかなと思っていた部分もありました。でも実際に入社してみると、工程を考えたり計算したり、頭を使う仕事という印象が強くなりました。あとは、コミュニケーションもすごく大事ですね。

川本 たしかに、とにかくコミュニケーションは大切ですね。私も施工管理という名前に引っ張られて、協力会社さんを“管理”する仕事かと思っていましたが、実際はたくさん会話をして色んな方に助けてもらいながら進めていく仕事だというのは大きなギャップでした。

 一方で、助けてもらうだけではだめで、上司や先輩に相談するときは、必ず「川本はどう思うの?」と聞かれるんです。誰々さんに言われたからこうしました、では納得してもらえない。「自分の考えを載せて提案しなさい」と、1、2年目の頃から意識づけられてきました。コミュニケーションが得意というわけではなかったので最初は戸惑いましたが、おかげで自分の考えを持つ癖がつきました。

穂満 若いうちから裁量が大きいので、自然と成長できると思います。僕は2件目の現場がそこまで大きくはないマンションの3人体制の工事で、2年目にしていろいろなことを任せてもらいました。とはいえ、若い職員の指示は職人さんもあまり聞いてくれなかったりして。それでも自分がこうしたほうが良いと考えたことは職人さんにお願いに行きました。内心、心臓バクバクでしたけど、逃げずにお願いをし続けるうちにかわいがってもらえるようになりました。

 それからもいくつか現場を経験しましたが、どの現場に行っても、意見を言えば「いいね」「じゃあそっちでいこう」と受け入れてくれる空気があります。それはインターンのときに感じた温かさと変わっていないですね。

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「いつかは所長をやってみたい」

――お話を伺っていると、かなり“今っぽい”というか。昭和的な雰囲気を想像していたので、意外です。

川本 研修制度も豊富なんですよ。私たちはコロナ禍のときに入社したので、ウェブ研修が中心でしたが、最近の新入社員は富士山の麓での研修や、一級建築士の取得を支援する制度もあって、正直うらやましいなと思います。

 あとはDXも、ここ数年でかなり進みました。特にBIM(Building Information Modeling)の導入は大きいですね。以前は設備の干渉チェックをするときも2Dの図面で数字を見て判断していたのが、今は建築モデルも含めて3Dで確認できる。現場での手戻りが減って、労務負担もかなり軽くなりました。
※設備工事の配管や配線が梁や柱等と当たらないか、設備工事同士がぶつからないかなどを図面上で確認すること

穂満 紙の図面を持ち歩かなくなったよね。タブレット端末で図面を見て、専用ペンで書き込んで、そのままみんなとシェアして同時編集できる。会議室にはモニターがあって、画面を飛ばしてすぐ打ち合わせに入れます。印刷した図面を何部も用意していた頃と比べると、打ち合わせが本当に円滑になりました。

――お二人の今後の目標を聞かせてください。

穂満 いつかは所長をやってみたいです。最初は責任が重いだけじゃないかと思っていたのですが、お世話になった所長が「思っている以上に楽しいよ」と言って、本当に楽しそうにされていて。お施主さんや設計者と話しながらものを決めていく仕事は、やっぱりおもしろいんだろうなと。まずはもう一つ上の立場で図面管理やお金まわりの経験を積んで、そこからですね。

川本 私はこの現場をしっかり竣工させて、「川本がいたから終わったね」と言われるのが短期的な目標です。あとは、いま娘が2歳なのですが、竣工後に家族でみなとみらいに来る機会があったら「あれ、お父さんがつくったんだよ」って自慢したいです(笑)。

 中期的には、こういう大きな現場で設備のトップに立てるようになりたいですね。若いうちからいろいろ経験したい人、自分の担当だけでなく全体を俯瞰しながら進めたいと思える人は、きっとフジタに向いていると思います。

穂満 同じ現場は二つとないし、やり方も毎回違います。だからこそ協力会社さんや職人さんとコミュニケーションを取りながら知識を吸収して、自分の思いや考えを伝えられる人が特に活躍できる環境だと思います。建築が好きで、熱意がある人にぜひ来てほしいですね。

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