「長生きすれば認知症になるのは、自然なことです。認知症患者の人格も心も失われることはありません」
『認知症は病気ではない』(小社刊)の中でそう語るのは、東大名誉教授で、東京都健康長寿医療センター初代理事長である松下正明医師だ。同著を記したジャーナリストの奥野修司氏が見た認知症患者の知られざる“内面”とは――。
認知症の発症者は、2025年に730万人にのぼると推計されている。
認知症の約6割を占めるのがアルツハイマー型認知症で、年齢を重ねるごとに有病者は増えてゆく。
後期高齢者となる75歳〜79歳の有病率は13.6%。それが、85歳を超えると41.4%、95歳以上は79.5%と飛躍的に上昇する。
「松下医師は、亡くなった高齢者の解剖をしていた際に、『病変がない正常な老人にも、アルツハイマー型認知症に特有のアミロイドβやタウたんぱくの蓄積があった』ことを確認しました。つまり健常者と認知症患者は、量的な差こそあれ、質の面では同じものが溜まっていたことを“発見”したのです」(奥野氏)
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source : 週刊文春 2024年11月28日号