「10軒回っても薬がない!」。医師や薬剤師の元には今、患者からそんな悲痛な声が届いているという。なぜ、歴史的な薬不足に陥ってしまったのか。私たちはどこに気を付ければいいのか。今から「読む処方箋」を紹介しよう。
▶︎マイコプラズマ前年比40倍、インフルも大流行の中…
▶︎10月から先発薬は自己負担増、ジェネリックは不祥事連発
▶︎多剤服用見直しの好機、普段と違う色の薬を出されたら?
「先生、こちらのお薬の在庫がありません」
12月8日、いとう王子神谷内科外科クリニック(東京都北区)院長の伊藤博道医師は、薬局からのこうした「疑義照会」に追われていた。伊藤医師は危機感を露わに語る。
「今日だけで15件近く『照会』があり、そのほとんどが『処方された薬が無い』というものでした。主に咳止め、そして抗生剤ですね。同様の『照会』は多い時で1日30件にも上っています。医師としては患者さんに必要な薬を服用いただきたいのに、歯がゆいばかりです。これは『異常事態』だと思います」
今、全国で医薬品が足りていない。日本製薬団体連合会の調査(10月末時点)によると、医療用医薬品1万6770品目のうち、「限定出荷」状態が10.7%、「供給停止」が7.8%。つまり計18.5%、3103品目が供給に支障をきたしている。この2割前後の「供給不安」は昨年から続いているという。
不足品のうち約6割はジェネリック医薬品だ。医薬品政策の権威で、神奈川県立保健福祉大学シニアフェローの坂巻弘之氏(「医薬政策企画P-Cubed」代表理事)が現状を解説する。
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source : 週刊文春 2024年12月19日号