「彼女はずっと元夫に怯えていました。日本大使館にも以前から相談していて、昨年8月には日本に帰国するための渡航書を申請しようとしたんです。でも認められなかった。もし大使館が発行してくれていたら……」
こう悲嘆に暮れるのは、ハンガリーの首都ブダペストで1月29日に亡くなった長谷川翠さん(仮名、43)の友人だ。
アパートの火災現場から遺体で発見された翠さん。現地警察は当初、タバコによる失火が原因の事故死と発表した。だが、翠さんを知る人や女性支援団体から初動捜査の杜撰さを相次いで指摘され、2月4日、火災の通報者で元夫のアイルランド人男性が殺人容疑で逮捕されたのだ。

翠さんの代理人を務めていたユリヤ・スプロンズ弁護士が語る。
「翠さんはこれまで2回、警察にDV被害を相談していました。そのうちの1回が昨年11月。元夫から脅迫メールが届いたので相談したのですが、『こんな攻撃的な男性と結婚するべきではなかった』と、取り合ってもらえなかった」
こうした警察の対応はハンガリーのメディアで連日大きく報じられ、8日にブダペストの国会前で行われたデモには数百人の市民が集まった。
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source : 週刊文春 2025年2月20日号