多数の個人投資家らが保有する銘柄の株価が2日連続のストップ安となり、およそ1か月で約70億円が吹き飛んだ——。
この銘柄は、東証スタンダード上場のクシム(東京都港区)だ。
大暴落の裏側で何があったのか。

クシムは、デジタルデータを安全に管理する技術「ブロックチェーン」の開発などを手掛ける一方、老舗の暗号資産交換所「Zaif」を連結子会社に有するIT企業だ。
「Zaif」は2017年に暗号資産(仮想通貨)取引業に登録。2021年時点で口座数は約34万、預かり資産額は約1536億円と公表している。扱う銘柄数は現在20以上である。

冒頭のストップ安が始まったのは2月4日。その「Zaif」にも絡んで前日、同社がホームページ上で行った発表が発端だった。
タイトルは、
〈代物弁済に伴う連結子会社の異動(株式譲渡) および個別決算における特別利益の計上見込みに関するお知らせ〉
である。
「会社が“カラ箱”状態に…」
この発表によると、同社が5億2900万円を借入している「カイカフィナンシャルホールディングス(FHD)」が、1月31日の期限までの「全額現金返済」を要求。クシムはこれに対し、現金の代わりに同社が84.38%の株式を保有する連結子会社「ZEDホールディングス(HD)」の株式を譲渡する「代物返済」を取締役会で決議した。

ZEDHDは、クシムの中核事業を担う子会社群を100%株主として保有。Zaifの運営会社である「株式会社Zaif」のほか、ブロックチェーンの開発を実質的に担っている「チューリンガム株式会社」などの子会社5社が、ZEDHDの株式譲渡に伴い、カイカFHDの傘下に異動したのだ。
市場関係者が語る。
「主力のブロックチェーンサービス事業のほか、業績が黒字に転換しつつあったZaifなど中核事業をすべて譲渡することになり、同社はほぼ“カラ箱”の状態となる。このことから投資家が一斉に同社株を投げ売りしました」
この結果、1月30日に604円まで上昇していた株価は約2週間で200円を割り、3月3日の終値が168円。約1か月で約70%の下落である。
一人の取締役の個人名を挙げ、「辞任勧告」「情報漏洩」
発表文によれば、クシムはカイカFHDに対し、〈返済期日の延長を強く要望〉したが、カイカFHDは〈迅速な債権回収を最優先事項〉として譲らなかった。カイカFHDがクシムの〈経営体制変更の可能性による返済リスクの高まりを懸念〉したことを理由に、延長に応じなかったとしている。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 電子版オリジナル