「死、死、死、ひどい死! 白人が殺されてるんだ!」ドナルド・トランプ大統領は叫んだ。
5月21日、南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領がホワイトハウスを訪れた。南アへの経済支援を凍結したトランプを説得するためだ。トランプは凍結の理由を「南アで白人が迫害されているからだ」としている。
ラマポーザが大統領執務室に入ると、TV各局のカメラやキャスターと共に、イーロン・マスクが待ち構えていた。イーロンはラマポーザの不倶戴天の敵だ。
イーロンの父には南アフリカを侵略したオランダ人、いわゆるボーア人またはアフリカーナの血が入っている。母はカナダの右翼活動家の娘。南アフリカでは全人口の1割程度の白人が残り9割の黒人(先住民)らの人権を奪い、支配下に置く「アパルトヘイト」制度が確立され、イーロンの父は黒人を鉱山で奴隷労働させてもいた。
ラマポーザは南アフリカの先住民ベンダ族の子孫。法律家としてネルソン・マンデラと共にアパルトヘイト撤廃運動に身を投じ、特に鉱山労働者の組合運動を率いてイーロンの父のような白人鉱山主と戦い、反体制活動家として投獄もされた。
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source : 週刊文春 2025年6月12日号