参院選で過半数割れが現実味を帯びる自公にとって、小池百合子東京都知事(73)が最後の切り札になっている。小池氏は6月の東京都議選で自公と対峙したが、今回の選挙では、落ち目の自公候補のもとを細かく回っているのだ。

「武見さんは長年の親友であり、国政にも都政にも必要だと思って来ました」

 7月11日夕、東京・錦糸町のホテルで開かれた自民党の武見敬三参院議員会長の演説会。小池氏は約15分間にわたって、横に立つ武見氏を持ち上げ続けた。

都知事3期目は間もなく1年が過ぎる

 武見氏が挑む東京選挙区は、補欠補充も含め7つも改選議席がある。しかし、与党は石破茂政権の不人気や参政党の台頭などで苦戦。自民は元五輪水泳金メダリストの新人、鈴木大地氏こそ当選圏内だが、武見氏は73歳で高齢批判も重なり、「7〜8位の当落線上」(自民選対幹部)を漂う。

 武見氏にとって小池氏の来援は「暗闇の中で数少ない光明」(武見陣営関係者)だ。自民都連幹部によると、水面下で協力を打診したところ、6月下旬に小池氏側から「与党の候補を回ってもいい」と連絡が入ったという。武見陣営は期日前投票が進むタイミングも考慮し、前出の演説会を準備。SNSで大々的に周知した。

 小池氏は先の都議選で、特別顧問を務める「都民ファーストの会」の候補を徹底的に回り、都民ファを都議会第一党に押し上げた。自民はそのあおりで過去最低議席数の惨敗を喫した。それでも今回、自公は都民ファ支援者を味方につけたいというのが本音だろう。

 小池氏側は「都議会で知事与党を構成する自公を支える」と説明し、ほかに公明新人・川村雄大氏の応援にも入った。東京以外でも12日には福島で当落線上にある現職、森雅子元法相の街頭演説に参加している。

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source : 週刊文春 2025年7月24日号