アメリカは薬物の過剰摂取による死者が大きな社会問題になっています。疾病対策センター（CDC）が今年5月に発表した2024年の薬物過剰摂取による死者数は推定8万391人。そのうち合成麻薬フェンタニルを含む合成オピオイドによる死者数は推定4万8422人にも上っています。

　フェンタニル中毒になり、前かがみで歩く姿は、さながらゾンビのようだと恐れられています。このフェンタニルの取り締まりを強めているアメリカのトランプ大統領は、今月16日、これまで規制の対象外だったフェンタニルの原料となる化学物質を危険薬物に指定しました。

　これまでもフェンタニルそのものは危険薬物に指定されていましたが、工業向けなどに幅広い用途がある原料は対象外。メキシコやカナダの麻薬密輸組織は、規制対象外の原料を中国から輸入してアメリカの犯罪組織に売りさばいていたため、十分な取り締まりができないでいたのです。