「辞めない石破茂首相と、『石破降ろし』という自民党内の抗争に、なぜか日本共産党のトップが揺さぶられている」。政治記者がそう解説するのは、X(旧ツイッター)上の「#石破やめるな」の運動で、頭を悩ます共産の田村智子委員長(60)のことである。

 読売新聞や毎日新聞が7月23日、石破氏が参院選惨敗の責任を取って首相を辞任する意向を固めたと報じると、X上で「やめるな」運動が始まった。参院選で当選したばかりの社民党のラサール石井氏が運動に加わるなど、日頃は自民を痛烈に批判するアカウントが目立つ。

 その一人が共産の小池恵・東京都杉並区議だった。小池氏は同日、Xに「考え得る限り、#戦後80年#被爆80年を日本が迎えるにあたり自民党の中で一番総理にふさわしい人です!石破首相、まだやめないで!お願いだー‼」と投稿。小池氏以外にも「#石破やめるな」に賛同する共産党員らしきアカウントも多い。

 一方、党の機関紙しんぶん赤旗は25日、「許されない自民党政治の延命」と題した主張を掲載し、「石破政権居座りは許されません」と断じた。

 そこで困ったのは田村氏。同日、記者団からXでの運動や官邸前デモをめぐり、「共産党員が賛同しているが、党の方針と違う。容認するか」と問われ、「見ていないので、あれなんですけど」と言葉を濁した。その上で「自民党政治を終わらせるということに我が党は注力すべきだ」と原則論を述べつつ、「同時に排外主義の台頭を許さないということは認めていきたい」とも述べた。

参院選で共産は4議席減

 共産党ウォッチャーは「党を統治する原則の民主集中制はどこに行ったのか」と呟く。民主集中制とは民主的に議論し、決定後は統一的に行動するとの意味だ。「要は『執行部が決めたことには絶対に従え』ということ。赤旗の主張は党員にとって天の声。原則論で言えば『#石破やめるな』への賛同は反党行為にあたる」(同前)というわけだ。

 他方で「田村氏は反党行為を放置する“深謀遠慮”の策を取るかもしれない」(政治部デスク)との見方も広がった。「石破氏が首相の座に居座れば居座るほど、自民は分裂の危機を迎える。まさに田村氏の言う『自民党政治を終わらせる』ことにつながるかもしれない」(同前)

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source : 週刊文春 2025年8月7日号