連載「リーチ・ツモ・ドラ1」でお馴染みのサイバー藤田社長。今回の対談相手は、通算タイトル99期の羽生九段だ。2人の議論は、AIとの付き合い方から、長考や確率論の罠、将棋とビジネスとの共通点にまで広がり――。

藤田 羽生さんとの出会いは確か20年くらい前、当時運営していた動画メディアでの対談に来て頂いて。

羽生 懐かしいですね。

藤田 以来、食事をご一緒したり、色々とご縁がありました。ABEMAは2016年4月に開局し、17年2月に将棋チャンネルを立ち上げたのですが、その頃出てきたのが、まだ14歳の中学生だった藤井聡太さん。この年の春、当時三冠だった羽生さんらトップ棋士7人に挑む「炎の七番勝負」を配信したんです。羽生さんとの最終第7局は藤井さんの勝利でした。

2006年9月に行われた対談で撮影された1枚

羽生 凄い棋士が現れたな、と思いましたね。藤井さんはデビュー直後からほぼすべての対局が中継されていますが、これも史上初ではないでしょうか。

藤田 僕も視聴者として、最初は藤井さんに夢中でした。でも、段々と「羽生さん頑張れ」「佐藤康光さん頑張れ」と、ベテラン棋士を応援する気持ちに変わっていって。そのことを食事の席でお伝えしたら、羽生さんは「中年の星ってことですね」と(笑)。

羽生 それはもう有難い限りです(笑)。

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source : 週刊文春 2025年8月28日号