トランプ米大統領の長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏(47)と次男のエリック・トランプ氏(41)が共同創業者の仮想通貨企業「アメリカン・ビットコイン」が9月3日、ナスダックに上場した。株価は急騰し、終値時点でトランプ兄弟が保有する20%の株式評価額は、実に15億ドル超にまで膨れ上がった。

 同社は今年3月に創業したばかり。親会社はマイアミが拠点のエネルギーインフラの「Hut8」で、アメリカン・ビットコインにマイニング機器を提供する。

「マット・プルサックCEOは、トランプ兄弟が2つの価値をもたらしたと語っています。1つは彼らの国際的な人脈で資本市場へのアクセスを容易にしたこと。もう1つは、トランプという名前が持つ『物語性』でした。実際、今回はその名を利用して上場に成功したわけです」(米紙記者)

 トランプ兄弟は“家業”であるトランプ・オーガナイゼーションを継ぎ、経営に携わる。父の大統領就任後、政界との繋がりを背景に、事業を拡大していった。

家業で儲ける兄(右)と弟

「ただ、大統領1期目の時期は、不動産事業が中心でした。2期目に入って、仮想通貨ビジネスに本格的に乗り出した」(同前)

 もはや仮想通貨はトランプ一家のファミリービジネスだ。大統領もメラニア夫人も各自の名前を冠したコインを発行。2つのコインの収益は6億4000万ドルを超え、トランプ大統領は「仮想通貨大統領」と自称するように。保有する仮想通貨の評価額は不動産などの資産を上回っているという。何より問題なのが、大統領として仮想通貨推進の政策を打ち出していることだ。

「就任直後に仮想通貨の利用を推進する大統領令に署名。さらに司法省に対して、仮想通貨の捜査を緩和するように指示を出しました。つまり、政権が業界に有利な政策を次々に打ち出し、それによって大統領の家族が恩恵を受けているのです」(在米ジャーナリスト)

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source : 週刊文春 2025年9月18日号