「ギャツビー」ブランドで知られるマンダムは9月10日、MBOを行うと発表した。英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズ系のカロンホールディングスが、マンダムにTOBを実施し、ほぼ全株を買い取る。買い付け総額は、約793億円にのぼる。

「TOB成立後、マンダムは非上場化され、カロンホールディングスがマンダムを吸収合併する。合併後も創業家の西村元延会長と息子の西村健社長が出資して議決権の34%を持ち、経営に関わる」(金融関係者)

 なぜマンダムはこのような複雑なスキームを駆使してまでMBOを行うのか。一つは海外事業の赤字だ。

「マンダムは長年、安定して営業黒字でしたが、コロナ禍で業績が悪化。2020年度から21年度にかけて2期連続で営業赤字に。その後も営業利益は低い水準にとどまっている」(同前)

 特に足を引っ張っているのが、売り上げの5割弱を占める海外事業の中核、インドネシア事業での赤字だ。同国事業は他社に先駆けて進出したこともあり、長らくマンダムの牙城だったが、

「近年は他社製品も伸びてきており、製品競争力が低下。収益性の悪化を改善できておらず、21年3月期から25年3月期まで赤字続きです」(同社関係者)

 MBOを行った二つ目の理由は、創業家を怯えさせる事態が生じたこと。今春、ひびき・パース・アドバイザーズという海外のアクティビストに、公開書簡を突き付けられたのだ。

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source : 週刊文春 2025年9月25日号