公明党が、惨敗した参院選の総括を巡って「茶番劇」を繰り広げた。主役は西田実仁幹事長(63)だ。9月11日、敗北の責任を取って斉藤鉄夫代表に辞表を提出した、と自ら番記者に漏らしながら、わずか1日で続投が決まった。

斉藤代表は12日の会見で「課題を前に進めるには、西田幹事長の豊富な経験と卓越した調整力が必要不可欠だ。よって私から強く慰留し、幹事長の職務を継続してもらうこととした」と神妙に語ったが、政治部デスクは「あまりにも出来レースで噴き出しそうになった」と話す。
参院選では1998年の党再結成以来最少の8議席。比例代表も前回を100万票近く下回る521万票にとどまり、総括では「党存亡の危機」とした。西田氏の地元埼玉でも、昨秋の衆院選での石井啓一前代表落選に続いて候補者が敗北した。西田氏の責任論になるのは自然だ。
ただ、続投方針はとうに決まっていた。そもそも参院選後の7月下旬に行われた支持母体・創価学会の最高協議会で、学会幹部の誰ひとりとして責任を問われなかった。学会幹部は「誰かに責任を負わせ始めると全員が責任をとらなければいけなくなるほどの負けっぷりだった」と振り返る。
学会職員を退いた後も公明の選挙を事実上差配する実力者・佐藤浩副会長についても、原田稔会長が不問に付した。「西田幹事長は佐藤さんの『子飼い』だ。幹事長が引責辞任となれば、親分だけでなく学会首脳陣にも累が及びかねない。はなからあり得ない話だ」。党幹部はそう解説する。
さらに人材難もある。昨秋の衆院選では前出の石井氏が落選、政調会長(当時)の高木陽介氏は病気を理由に引退を強いられ、大阪では前職の伊佐進一、国重徹両氏も落選した。
自民は首相退陣、立憲は執行部刷新、維新は共同代表交代と主な政党がけじめをつける中で、公明党もなんらかの「儀式」演出の必要性に迫られた。そこで今回の茶番劇になった。
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source : 週刊文春 2025年9月25日号






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