高島屋の村田善郎社長(63)は10月14日、2026年2月期通期の連結営業利益予想を従来の500億円から525億円に上方修正すると発表した。同時に26年2月期の年間配当を積み増し、今後、200億円規模の自社株買いを実施する方針を示した。株主還元を強化、資本効率の改善を意識した経営を進める。
背景にはアクティビストの動きがある。9月22日、村上世彰氏の長女・野村絢氏が、旧村上ファンド系投資会社シティインデックスイレブンスの共同保有者分と合わせ、高島屋株を5.32%保有していることが判明。その後、6.55%まで買い増している。大手証券会社幹部が語る。
「狙いは明白で、高島屋の膨大な資産の売却を迫るなど圧力をかけ、株主に還元させること。14日の社長の発表は、先回りしてアクティビストの要求を実行し、その他の投資家の賛同を得ようという戦略でしょう」

かねてより高島屋はアクティビストの格好のターゲットと見られてきた。インバウンド需要による営業収益が伸びていただけでなく、富裕層向けの金融関連事業や不動産事業の収益力が高かったからだ。
「特に不動産事業は、百貨店業界でいち早く東神開発という不動産子会社を設立。二子玉川や流山でのエリア開発、オフィス・住宅事業なども展開してきた。コロナ禍で他の百貨店が大きく収益を減らす中、安定した収益を上げることができました」(メガバンク幹部)
象徴的だったのは23年1月、自社物件の立川高島屋ショッピングセンター内の高島屋立川店の営業を終わらせたときのことだ。
「店舗は閉鎖したものの、ショッピングセンターの大家として、テナント賃料で稼ぐ不動産業に転換した。百貨店運営にこだわらない姿勢が見て取れます。ベトナムで現地企業と組んで商業施設を開発するなど、海外不動産事業も成長の軸に据えています」(同前)
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source : 週刊文春 2025年10月30日・11月6日号






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