“結婚”したばかりの自民党と日本維新の会の間に、早くも隙間風が吹いている。自民が衆院で与党過半数を回復しようと、維新を除名された無所属の3議員を同一会派に入れたのが端緒だが、とりわけこの過程でパートナーを怒らせたのが、高市早苗首相の最側近である自民の古屋圭司選対委員長(73)だというのだ。

 そもそも、3議員は維新内で藤田文武共同代表ら現執行部と鋭く対立してきた一派で、9月に離党届を提出。除名処分を受けた後は独自の衆院会派「改革の会」を作って活動してきた。

 にもかかわらず、古屋氏は11月初旬から維新に無断で3議員と接触を始めたという。次の衆院選での選挙協力もちらつかせ、自民会派に入るよう口説いた。

 自民と維新では衆院過半数まで3議席足りない。古屋氏は「補正予算案の本格審議前に与党過半数を回復したい」という高市首相の強い意向を受け、維新と仲たがいしたはずの改革の会に触手を伸ばしたのだ。

 交渉は極秘裏に進んだ。維新側が事態を知ったのは、3人が正式に自民会派に入る2日前の11月26日。自民の鈴木俊一幹事長が、維新の中司(なかつか)宏幹事長に「明後日に3人が入ります。もう決めています」と通告するように伝えたという。

総裁選では高市氏の推薦人代表を務めた

 中司氏から連絡を受けた維新執行部の一人は、「与党として共闘を誓った相手に一切相談せず、騙し討ちのように仲間に入れた」と激怒。「こちらの政敵を根回しをまったくせずに取り込む神経がわからない」と憤りが収まらない。

 最近は、維新が連立の「絶対条件」(吉村洋文代表)と位置付ける衆院議員定数の1割削減も雲行きが怪しい。自維は削減目標を明記したプログラム法案の今国会提出で大筋合意しているが、自民側で法案協議の責任者を務める加藤勝信元官房長官が「他の野党を説得できるかわからない」などと、維新側に泣きを入れ始めているという。

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source : 週刊文春 2025年12月11日号