トランプ米大統領と連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の“全面対決”が俄かに熱を帯びている。

 1月11日、パウエル氏が突然、ビデオ声明を出した。FRB本部の歴史的建造物の改修費について、2025年6月の議会で虚偽の説明をした疑いがあるとして、自身が司法省の刑事捜査の対象になっている事実を公表したのだ。さらに、この捜査は「大統領の意向に従うのではなく、国民全体の利益に資すると判断した金融政策を遂行した結果に他ならない」と断じた。

「トランプ氏は景気刺激と選挙対策のため、大幅な利下げを求めてきました。ただFRBはインフレ抑制と雇用の安定のため、意向に従わなかった。それゆえ政権に狙われたのだと主張したのです」(在米記者)

 12日にはグリーンスパン氏ら元FRB議長が、捜査を「独立性への前例なき攻撃」と非難。共和党内からも批判が噴出した。パウエル氏の任期は5月までで、間もなく次期議長が決まるが、トランプ氏の“側近”ベッセント財務長官も「次期議長の承認計画を複雑にしかねない」と、懸念を大統領に伝えたという。

72歳のパウエル氏(左)は共和党員でもある

 両者の対立は長らく続いてきた。トランプ氏はなぜか「バイデンが選んだ」と主張しているが、パウエル氏が議長に就いたのは18年の第一次トランプ政権だ。

「トランプ氏が利下げを要求するも、圧力に屈しなかった。それゆえトランプ氏はパウエル氏を『愚かだ』と公然と罵倒。解任を示唆したことも。ただ、パウエル氏のその姿勢は党派を超えて評価され、22年にバイデン大統領にも再任された」(前出・記者)

 第二次政権では忠実なスタッフに囲まれ、トランプ氏は不法移民対策、関税引き上げなど、矢継ぎ早に改革を進めてきた。だが、金利だけは引き続き思うようにいかなかった。そして今回の刑事捜査が起こった。

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source : 週刊文春 2026年1月29日号