「週刊文春」が中吊りを終了するとのニュースは、朝日新聞を皮切りに新聞・テレビで大きく報じられました。今朝の「天声人語」にも取り上げられるなど、反響の大きさに驚いています。週刊誌の中吊りが、皆さんの日常に溶け込み、1つの文化となっていたことはうれしくもあり、なくなることのさみしさも感じています。
それなのに、なぜ止めるのか。メディアにも説明した通り、理由は2つあります。
一番大きいのは、雑誌作りの制約になるケースが増えてきたことです。中吊りがどのように作られるのか、を説明するとご理解いただけると思います。
中吊りは、日曜日の夜、原案が作られます。夕方、デスクから担当する記事のタイトル案が私に提出されます。それを見ながら、並びを考えていきます。1番、右側に来る記事を右トップ、左側を左トップと呼び、その週の最も売りになると考える記事を並べます。右トップは政治や事件などの固めの記事、左トップは芸能や医療・健康などのやわらかめの記事を置くのが基本です。私がうんうん唸りながら作った中吊りタイトルを、デスクみんなと検討します。「こっちが右では」「この表現はわかりにくい」「読者の関心はこのテーマではないか」。その結果、手直しした中吊り案をデスクが担当記者に送り、話し合います。これが、だいたい夜の9時頃でしょうか。
そして、月曜日の朝10時半、中吊りを制作する精美堂のデザイナーMさんと私が打ち合わせをします。コロナ以前は対面でしたが、現在は電話で行っています。Mさんは、この道、20年を超えるプロ。「今回は右、大きめで」とか「右、左は抑えつつ、とにかく本数を見せたい」などと“注文”すると、あとは阿吽の呼吸で、作ってくれます。続いて、写真選び。
私は、記者のプラン出しの時に、こうアドバイスすることがあります。「名前を聞いたら、顔が浮かぶ」「顔を見たら、名前が浮かぶ」人物の記事は通りやすい。それは、中吊りから考えると、イメージしやすくなります。
午後3時過ぎ、文字だけが配置された第一稿があがってきます。そこから、あと2回のチェックを経て、校了するのが夜8時から9時頃。中吊りはここから、もう直なせなくなります。
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source : 週刊文春