今日、菅義偉首相が、自民党総裁選に出馬せず、辞任すると発表しました。衆議院の解散、幹事長の刷新を模索しましたが、いずれも実行できず、出馬断念に追い込まれました。最後は自ら辞める形にしましたが、党内で「不信任」にあった、いわば解任劇でした。

 小誌は、8月17日配信の記事で『菅 9・6「首相解任」』と報じました。サブの見出しは、《自民党幹部が小誌に「菅・二階では戦えない」》、《安倍動き出した「菅さんじゃダメと若手が…」》、《安倍 麻生極秘会談で岸田推し 河野は出馬準備》。記事を出した時点では、永田町の記者から「ずいぶん飛ばしていますね」と笑われました。ただ、菅首相は辞め、河野大臣が出馬するという、記事で書いた通りの方向に進んでいます。

 記事を出そうと考えたきっかけは、横浜市長選で、菅首相の推す小此木八郎・前国家公安委員長が負けそうだとの情報でした。

 以前も書きましたが、私の政治を見る基準は「選挙」にあります。地元の横浜市で、全力投球して勝てない首相が、全国の選挙を戦えばどうなるのか。横浜市長選挙のデータを見ても、自民党は選挙の勝敗を決める無党派層の支持を得られていないことがはっきりしていました。自民党は40議席減らす、いや70減らす、そして、最近では100減という数字も出始めました。

「菅さんのことが好きだから、自分は落選してもいい」という政治家はいません。政治家は選挙のことしか考えていない、と批判するのは簡単です。でも、「社長のことが好きだから、勤めている会社が倒産してもいい」と考える会社員は何人いるでしょうか。議員は落選すると、一気に約2000万円超の年収、東京の住居を失い、秘書の給料、交通費などは自腹になります。自分だけなく家族、秘書の生活は一変するのです。まさに、落選=倒産なのです。

 そう考えると、安倍晋三前首相や麻生太郎副総理、二階俊博幹事長が、菅支持で若手議員を締め付けても、素直に従うわけはありません。今週号の記事で書きましたが、安倍氏はこう洩らしていました。「無理やりそんなことすればロクでもない結果になる」。締め付ければ、それは安倍氏への反発に変わり、若手の支持を失ってしまう。そうなれば、安倍氏が狙う再登板もかなわないことになります。行き着く先は、衆院選前に菅首相に辞めてもらうことしかなかったのです。

 菅首相の間違いは、横浜市長選に前のめりになったことでした。保守分裂を理由に静観することもできたはずです。それを、求められてもいないのに、小此木氏支持に舵を切った。たたき上げの菅氏は、二世議員とは違い、自らの地位を闘って勝ち取ってきました。その“生き様”が裏目に出て逆回転が始まり、坂道を転げ落ちていきました。ある意味、菅さんらしい“最期”でした。

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source : 週刊文春