思わぬ形で世間の注目を浴びた。福島県相馬市の立谷秀清市長が10月28日、連合福島の大会で、「今度の美人会長も楽しみにしている」と発言した。「美人会長」とは、6日に就任したばかりの連合の新会長、芳野友子氏(55)のこと。
発言が批判的に報じられると、立谷氏は連合福島の会長に「軽率で配慮が足りなかった」と謝罪。芳野氏は翌29日の会見で、さばさばとこう語った。
「容姿に触れるのは許されない。だが、一つ一つ目くじらを立てても仕方ない」
連合は、48の産業別組織からなる労働組合の中央組織で、約700万人の組合員を抱える。芳野氏はその巨大組織の第8代会長にして、初の女性会長だ。幼い頃からバレエダンサーを目指していたが、高校卒業後、ミシンメーカーのJUKIに就職。19歳で組合専従となり、育休制度や育児のための時短勤務の実現に取り組んだ。
そもそも芳野氏が会長になるなど、想定外だった。
「全トヨタ労連出身で、神津里季生会長の下でナンバー2だった相原康伸事務局長が本命視されていた。だが、同労連は、カーボンニュートラルなど自動車産業の未来を左右する政策課題への対応のため、今後は与党とも連携する方針を示し、野党を支援する連合の会長就任には反発の声があった」(連合関係者)
次に候補に挙がったのが、繊維や医薬品などの産業で作る連合内最大の労組「UAゼンセン」の松浦昭彦会長だった。ゼンセンは松浦会長を推したが同氏が断ったという。
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source : 週刊文春 2021年11月11日号