「彼女できた」

 濃紺の学ランに角刈り頭の高校2年生は、はにかみながら友人に打ち明けた。朴訥とした同級生が10年後、無差別刺傷犯として世間を震撼させるとは、この友人は予想だにしなかった。

 10月31日、ハロウィンに沸く東京を悪夢が襲った。京王線の特急車内、男がサバイバルナイフで乗客に襲いかかり、撒いたライターオイルに火をつけ、17人に重軽傷を負わせた。

 殺人未遂容疑で現行犯逮捕されたのは、鮮やかな緑のシャツに青のスーツと紫のコートを重ねた金髪姿の服部恭太容疑者(25)。その衣装は、映画『ジョーカー』の、病気や貧困に苦しんだ末に殺人鬼へと変貌していく主人公に扮したもの。犯行後、座席で足を組み、震えた手で煙草をふかす姿はどこか心細げであった。

逮捕直前の京王線内(ツイッターより)

 1996年、福岡市の公団住宅で服部は生まれた。両親は小学生の頃には離婚、母親と妹の3人家族だったという。地元住民が語る。

「目立つ子ではないし、会えば『こんにちは』とちゃんと挨拶できるいい子でした。何があったのか。知らん子やないから悲しい……」

 中学では陸上部で砲丸投げなどに打ち込む。高校では空手部で、3年時には主将だった。同級生が言う。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2021年11月18日号