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【現場レポート】東大「受験生襲撃放火事件」 逮捕“名古屋の高2”に警察官の怒声「どこから来た!」、最寄り駅構内では火が燃え上がり…

「週刊文春」編集部

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「上下黒の服装で黒ブチメガネをかけた痩せ型の男が、門の左側にある守衛室の手前の壁に寄りかかっていた。身長は高くなくて、160センチくらい。最初は怪我人かと思ったけど、警察官が『どこから来た!』と何度も大声で怒鳴っていたから、犯人だったかもしれません」(事件を目撃した近所の商店店主)

事件が起きた東大農学部正門前は騒然としていた

 若者たちの未来を決める大切な日に、前代未聞の事件が起こった——。

 1月15日午前8時頃、大学入試共通テストの会場となっている東京大学弥生キャンパス近くの路上で、受験生2人を含む3人の男女が相次いで背中を刺された。警視庁は殺人未遂容疑で愛知県名古屋市在住の高校2年生の少年(17)を緊急逮捕した。

 被害に遭ったのは、受験生だという千葉県浦安市の18歳男性と千葉県市原市の18歳女性。そして東京都豊島区在住の72歳男性。警視庁によると、受験生2人は意識があるが、72歳男性は重傷で現在、手術中だという。

駅から正門へ続く道では現場検証が行われた

 前出の目撃した近所の商店店主が振り返る。

「8時30分過ぎ、消防車が10台くらい店の前を通ったんで、驚いて外に出たんですよ。近所で火事かな? と思ったら、東大の農学部(弥生キャンパス)の方がガヤガヤしている。見に行くと、構内に倒れている人の姿がありました。青いズボンを履いた足が2本、こちらを向いていた。しばらくすると救急隊が到着し、その人は運ばれていきました。

 警察官に囲まれていた黒い服を着た男は終始無表情。しばらく『どこから来た!』などと尋問されていましたが、3、4人の警察官に囲まれて、弥生町交番の方向に強引に連行されていった。こういうやりとりが行われている間にも、受験生たちはテストを受けるために門から続々と入っていきました」

逮捕された少年が通った1番出口付近を調べる捜査員ら

 殺人未遂容疑で逮捕された17歳の少年は一体、何者なのか。

「犯行後、座り込んでいるところを警視庁本富士署員が現行犯逮捕した。確保した時、被疑者は詰襟の学生服を着ており、学生証を所持していた。被害者3人とはいずれも面識はなく、事前のトラブルも今のところない。72歳男性、18歳女性、18歳男性の順番で切り付けた。犯行に使用したのは、自宅から持ってきた刃渡り15センチの刃物。いつ上京したのか、なぜ来たのかなどは現時点では不明。調べに対し、『勉強が上手くいかず、事件を起こして死のうと思った』などと供述している」(社会部記者)

職員に受験票を見せ、受験生は規制線の中へ

 だが、事件はこれだけではなかった。3人が刃物で襲撃される直前、最寄りの東京メトロ南北線の東大前駅構内でも異変が起きていたのである。

「爆竹のようなものが撒かれた」。8時24分、東大前駅構内で火の手が上がったのだ。

「お客様から申し出があり係員が確認したところ、改札付近とホームから登る階段などの計4カ所で着火剤のようなものが燃えているのを発見。すぐに消火し、怪我人はいませんでした。火をつけた後、男は1番出口から逃走。上下黒の服を着用し、短髪。大きな鞄を所持していたことなどを駅構内の監視カメラで把握しています」(東京メトロ広報)

南北線東大前駅の改札には消火剤の跡が残る

 ボヤ騒ぎの前には、男が乗っていた車両内でも——。

「8時30分頃、赤羽岩淵駅行の南北線第六車両内で液体が撒かれていると乗客から入電。8時24分より前に発生しており、液体は水またはスポーツドリンクという見解です。男が放置したリュックから漏れ出ていました」(同前)

着火剤が撒かれた階段付近にも鑑識が入った

 殺人未遂容疑で逮捕された17歳の少年は、警察の調べに対し、この不審火にも関与していることを仄めかしているという。

 事件が起こった東大弥生キャンパスではこの日、約3700人が受験予定だったが、試験は通常通り行われた。被害者となった2人の受験生については、追試などの救済策が検討されているという。

 身勝手な犯行に及んだ17歳の少年。一体、何が少年を凶行に駆り立てたのだろうか。19日配信の「週刊文春 電子版」および20日発売の「週刊文春」では、事件の背景に迫るレポートを掲載予定だ。

(写真・鈴木七絵)

source : 週刊文春 電子版オリジナル

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