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茂木敏充 VS. 高市早苗「党四役のやることか」実況中継

「週刊文春」編集部
ニュース 政治

 発足以来、支持率好調の岸田文雄内閣。だが今夏の参院選に向け、“最大の火薬庫”と目されているのが、党四役の二人、茂木敏充幹事長(66)と高市早苗政調会長(60)のバトルだ。

 1月16日夜、首相公邸でNHKスペシャル「永田町・権力の興亡 コロナ禍の首相交代劇」を見ていた岸田氏は、終盤のこんな場面に目を止めた。岸田氏直轄の「財政健全化推進本部」と安倍晋三元首相が最高顧問を務める「財政政策検討本部」が新設され、二人の距離が広がっている――。

安倍氏

 自民党担当記者が語る。

「元々政調には『財政再建推進本部』がありましたが、昨年末、積極財政を目指す高市氏が『再建』の文字を外して『財政政策検討本部』を発足させ、本部長に筋金入りの積極財政論者・西田昌司参院議員を就けた。その動きを察知した茂木氏が岸田氏に働きかけ、基礎的財政収支の黒字化を目標とする『財政健全化推進本部』を作ったのです。党内に2つの財政本部が出来るのは異常事態。参院選公約作りは『茂木vs.高市』の主導権争いとなっている」

 高市氏は最近周囲にこう漏らしている。

「これから面白くなるわよ」

高市氏

 放送翌日の17日午前、自民党本部で行われた両院議員総会後、岸田氏は西田氏にこう声をかけた。

「対立しているように言われているけど、対立してないよな」

 当の西田氏が語る。

「私は『総理がおっしゃっている新しい資本主義を実行する手段としての財政政策。全く同じ方向です』と応じました。検討本部では再建派、積極派で議論をしていただきますが、自ずと私たちの考え方が正しいとわかってもらえると思う」

 党幹部の対立を、自ら火消しに走る岸田氏。だが火種は財政だけではない。

 昨年12月14日、高市氏は官邸に岸田氏を訪ね、2月の北京冬季五輪に閣僚らを派遣しない「外交的ボイコット」を求めた。

「この席で、中国政府による人権侵害を非難する国会決議の採択も訴えた。高市氏は『南モンゴルを支援する議員連盟』会長としての訪問だと言い訳していたが、政権与党の政策を取りまとめる責任者たる政調会長の言動としては逸脱している」(官邸関係者)

 怒り心頭だったのが茂木氏だ。こうぶちまけた。

「官邸に正面から乗り込むなんて。党四役の一人が露骨にやる事かね!」

 高市氏は、茂木氏にも直談判に及んだが、茂木氏は却下。12月24日になって政府は政府関係者を北京に派遣しないと表明した。

「岸田氏は中国への配慮を滲ませ、『外交的ボイコット』の言葉を使っていない。茂木氏が非難決議を見送ったのも岸田氏と連携を取った上でのこと」(前出・記者)

 怒りが収まらない高市氏はネット番組で、「悔しいったらありゃしない。幹事長が頑としてサインしてくれなかった」と茂木氏を名指しで批判。茂木氏に至っては「オレは高市とは分かり合えない関係だよ」と完全に匙を投げているという。

 今も高市氏は対中非難決議を「この通常国会で絶対に出す!」と意気込むが、二人のバトルの背景には「ポスト岸田」争いが絡む。

『文藝春秋』2月号の政治記者アンケート「次の総理」で茂木氏は3位、高市氏は5位にランクイン。リードした茂木氏はご満悦だ。

「番記者から話題を振られると『いやいや〜』と謙遜しつつ満面の笑み。記事中で麻生太郎副総裁が茂木氏を『最近よくなられた』とスピーチで語った事が触れられており、これに『麻生さんはオレの事をわかってくれているんだ』と嬉しそうでした」(同前)

連携する麻生氏(左)、岸田氏、茂木氏(右)

 果たして岸田氏は対立する二人を使いこなせるのか。

「岸田氏周辺は『参院選後に高市を切ればいい』と進言しています。ただ高市氏を手放せば、保守層が岸田氏に牙をむいてくる。他方、パワハラ疑惑が取り沙汰された茂木氏と岸田氏は性格的にそもそも『水と油』。『戦略的互恵関係』を保っているだけ。一方の暴走を許せば政権の命取りになりかねません」(政治部デスク)

 火薬庫は最早爆発寸前だ。

source : 週刊文春 2022年1月27日号

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