日本時間の1月15日午後1時頃、日本から約8000キロ離れたトンガ沖の火山島で発生した大規模な噴火。気象庁は当初、「被害の心配なし」と発表していたが、噴火から約11時間後の16日午前0時過ぎ、「津波警報」「津波注意報」を発令した。

 深夜に鳴り響いたアラート。「津波警報」が発令された太平洋側の沿岸部に住む人々は、高台への避難を余儀なくされた。そして16日未明にかけて太平洋側の広範囲に津波が到達。鹿児島県奄美で1・2メートル、岩手県久慈で1・1メートルを観測した。

 今回の津波は、太平洋側で漁業を営む人々を直撃した。中でも被害が大きかったのが、東北地方沿岸部である。

「カキやホタテの養殖イカダが流されてしまった」

 岩手県・山田町。2011年3月11日の東日本大震災で大きな津波被害を受けたこの町を、再び津波が襲った。

 リアス式海岸を擁する山田町では、カキやホタテ、ホヤの養殖漁業、サバなどの定置網漁業、サケやタラなどの漁船漁業などが行われている。今回、被害が大きかったのは、養殖漁業が盛んな「大沢漁港」だ。

 三陸やまだ漁業協同組合・鈴木雄寿さんが語る。

「カキやホタテの養殖イカダ約40基が津波で流されてしまいました。岸壁には1メートル程の高さまで波が来た痕跡が残っていた。養殖イカダ同士が衝突してロープが絡み合い、一部では水揚げが不可能になるほど。諸々合わせると、被害総額は、数千万円にのぼる可能性があります。養殖組合の組合員およそ60人が協力してイカダは元の位置に戻しましたが、網の修理やアンカー(養殖用のイカリ)の追加は、これからやっていくしかないですね……」

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source : 週刊文春 電子版オリジナル