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黒川元検事長が社外取締役に就任した「上場企業」とは

「週刊文春」編集部
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「退官後は企業の社外取締役や顧問の打診もあったようですが、『謹慎中』と断り、ゴルフや乗馬で汗を流す悠々自適の生活を送っていました。ただ徐々に“表”の活動を再開させているようです」(司法関係者)

 小誌が20年5月に報じた“賭けマージャン”問題で辞職した黒川弘務・元東京高検検事長(64)のことだ。

“官邸の守護神”だった

 単純賭博罪に問われ、罰金20万円の略式命令を受けた黒川氏。東京新聞が報じた刑事裁判記録によれば、今後は「弁護士として社会に尽くしたい」と供述していたという。罰金も納付し、再始動に“リーチ”をかけた黒川氏だが、未だ弁護士登録はされていない。

黒川氏の定年延長にこだわった安倍首相(当時)

「弁護士法七条の欠格事由が禁錮刑以上なので、罰金刑の方は申請があれば受け付けます。書類、面接で弁護士法十二条の『弁護士会の秩序若しくは信用を害するおそれ』に抵触しないか、総合的に判断していくことになります」(東京弁護士会の志賀剛一副会長)

 実はその黒川氏、昨年11月16日付で、自身が代表取締役を務める「黒川経営管理コンサルティング合同会社」を立ち上げていた。ただ、法人登記簿の目的欄には「経営コンサルティング業務(弁護士法72条に規定する法律事務の取扱を除く)」と記されている。

「弁護士法七十二条では、弁護士でない者が、報酬を得る目的で訴訟事件などを扱ういわゆる『非弁行為』を禁じている。違反すれば、2年以下の懲役または300万円以下の罰金です。弁護士登録はないものの、企業の顧問などを引き受けていくという意思の表れでしょう」(前出・司法関係者)

 さらに、そんな黒川氏に新たな“役”が……。

 昨年12月24日付で、東証ジャスダック上場企業の社外取締役に就任していた。東京都豊島区に本社を置き、主に電気工事や再エネ事業を行う「ETSホールディングス」。2月に創業100周年を迎える歴史ある企業だ。HPには主な得意先として、法務省や裁判所の名も挙げられている。

社外取締役として紹介

「ETSの売上高はこの5年間、50億円前後で推移しています。ただ、コロナの影響で民間投資が厳しい中、公共投資が底支えする構図。黒川氏の豊富な政財界人脈に期待するところも大きいのでしょう。同社のIR資料によれば、社外取締役の報酬は一人あたり年360万円と見られます」(経済部記者)

ETSのホームページ

 黒川氏は、ETS株を約3割保有する筆頭株主の不動産会社でも、コンプライアンス委員会の社外委員を務めている。

「反社会的勢力排除の徹底をはじめ、法令遵守・企業倫理の指導を担う役割だといいます」(同前)

“再就職”を果たした黒川氏。意気込みを聞くべく、本人の携帯を鳴らした。

――週刊文春ですが。

「あ、結構です。失礼しました」

 ETSに黒川氏を起用した経緯などを尋ねたが、

「当社は個別の取材には応じていません」

 本来なら、検事総長が確実視されていた黒川氏。上場企業の取締役で“アガリ”というわけにはいくまい。

 

source : 週刊文春 2022年2月3日号

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