「丁寧に、ソフトにやり過ぎた。敬語も使い過ぎた。もっとガンガンやってもよかったかなぁ」
1月19日の代表質問後、周囲にこう反省の弁を漏らしたのは立憲民主党の泉健太代表(47)。各社の世論調査の支持率では日本維新の会の後塵を拝し、野党第2党の様相だ。苦境の理由は、1月28日の記者会見に凝縮されている。
最も大きな理由はその塩対応だ。夏の参院選に向けた総合選対拡充の狙いを記者から尋ねられても「参院選の勝利に向けて最善を尽くすため、万全の体制を作っていく」だけ。参院選の基本方針案に支持政党を明記しない連合について問われても「現時点でコメントどうこうではない」と無味乾燥な答えに終始した。ニュースでの扱われ方は当然それ相応になる。参院選の方針などは無視され、多くの社が記事にしたのは党最高顧問の菅直人元首相によるヒトラー発言だった。菅氏が維新創設者の橋下徹氏に言及し、「ヒトラーを思い起こす」とツイッターに投稿すると、維新は抗議文を立憲の党本部に持参。記者からこの問題への対応を問われた泉氏は「党としての関与は考えていない」と当たり障りなく答えた。野党担当記者は「菅氏と維新のバトルに乗っかって、泉氏も代表として気の利いた発信をしたらいいのに」。
そんな声を知ってか知らずか、泉氏がやや変化を見せたのは29日夜に出演したアベマの橋下氏の番組でのこと。ヒトラーを引用した批判は全面的に許されないとする橋下氏に対し、泉氏は明確に反論。橋下氏がかつて藤井聡京大大学院教授からヒトラー呼ばわりされた際に「京大のちょび髭藤井ね。(略)お前の顔の方が安もんのヒトラーだろ!」とツイートしたことを引き合いに「一律にいいとか、悪いとか言えないでしょ」と応戦してみせた。
「泉氏は『ピン芸人』として臨む記者会見では力を発揮できていない。ただ、漫才で言えばツッコミ役ができることは分かった」(前出・記者)
永田町界隈では泉氏は「理髪店のカットモデル」との評が飛び交う。目鼻立ちのはっきりした男前だが個性がなく印象に残らない、というわけだ。立憲のベテラン議員はこう嘆く。
「泉氏は八方美人で連合とも共産党とも距離感が中途半端。彼を悪く言う人はいないが、かと言って“泉さんのためなら”と必死になるような側近も党内には見当たらない」
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source : 週刊文春 2022年2月10日号