結末を真逆に、削除は当たり前 中国にカネで転ぶハリウッド

THIS WEEK「国際」

近藤 奈香
ニュース 国際 映画

 映画『ファイト・クラブ』(1999年)が、公開から23年後のいま、物議を醸している。テンセントビデオで配信された中国語版のラストシーンが、大幅に改変されていたのだ。

 本来は主人公タイラーが金融機関のビルを爆破する計画が実行され、エンディングを迎える。だが中国語版ではこのシーンがカット。代わりに黒い画面上に「警察は彼の計画の全貌を把握し、すべての犯罪者を逮捕。爆弾の爆発も防ぐことに成功した」との字幕が浮かび上がる。つまり警察当局が主人公を捕まえ、事件を未然に防いだというストーリーになっているのだ。

『ファイト・クラブ』にはブラピが出演

 これにはテンセントビデオのコメント欄も「傑作への侮辱だ!」などと、批判的な書き込みで溢れた。

「米『Vice』誌によると著作権者が改変し、それを中国政府が許可したというが、当初から政府の影が著作権者の念頭にあったのは間違いない」(米紙記者)

 実はハリウッド映画が中国で公開される際に、当局の検閲によりシーンが削除されたり、台詞が変更になるのは珍しくない。その背景には中国市場の大きさがある。

「2020年に中国の映画興行収入は世界最大となり、23年までに155億ドル市場になる見込み。映画を製作しているディズニーやユニバーサル・スタジオはテーマパークなどでも中国に進出しています。それゆえ中国市場を失うリスクを恐れ、検閲を受け入れるのが日常化しているのです」(同前)

 20年、NPO団体「ペン・アメリカ」は検閲を受けた作品を詳述している。例えば『ミッション:インポッシブル3』や『007 スカイフォール』では中国人殺害のシーンが削除。同性同士のキスも嫌がられ、『ボヘミアン・ラプソディ』ではフレディ・マーキュリーのセクシュアリティに関する描写が削られた。

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source : 週刊文春 2022年2月10日号

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