週刊文春 電子版

WHOテドロス事務局長続投を母国エチオピアが拒否した理由

THIS WEEK「国際」

近藤 奈香
ニュース 社会 国際

 続投が確実となった世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長(56)の周囲が揺れている。総会で正式承認された後、8月から5年間の任期を務める予定だが、続投をテドロス氏の母国・エチオピア政府が「支持しない」として、WHO執行理事会に書面を送ったのだ。母国の支持を得ない事務局長は史上初だ。

マラリア研究者でもあるテドロス氏

 背景にはエチオピア国内の紛争がある。

 同国は80以上の民族が存在する多民族国家で、テドロス氏は人口の6%を占めるティグレ族の出身だ。弟を感染症で亡くした経験から、公衆衛生を学び、英ノッティンガム大で地域保健学の博士号を取得。かつてティグレ人民解放戦線(TPLF)が政府の要職を占めていた時代に、保健相や外相を務めた。伝染病の研究者としての活躍が評価され、2017年、アフリカ出身者として初めて事務局長に選ばれた。この時、アフリカ、アジアの票集めに尽力したのが中国だった。

「中国はアフリカ連合本部を抱えるエチオピアと緊密な関係を続けてきた。多額のインフラ投資を行い、一帯一路のモデル国家として称賛。当時、中国はTPLFに協力的だったため、テドロス氏を支援した。それゆえ、テドロス氏は新型コロナ流行初期から、中国の感染対策を激賞。国際社会から中国の『情報隠し』への疑念が広がっても、態度を変えなかった」(英紙記者)

 ただ18年、アビー・アハメド氏が首相に就任し、エチオピアを取り巻く状況は一変した。アビー氏は約30年続いた与党連合を一つの政党に統合することに成功。さらにエリトリアとの和平を実現し、19年にはノーベル平和賞を受賞した人物でもある。

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source : 週刊文春 2022年2月17日号

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