新型コロナが登場して、はや2年以上。変異株が猛威を振るうたびに繰り返される自粛生活には、実は隠れた危機がある。それが“のど力”の衰えだ。
池袋大谷クリニックの大谷義夫院長が語る。
「人と会って話したり、食事をしたりする機会が減ると、その分、口やのどを使わないことになります。それが当たり前になると関連する機能が衰え、特に高齢者は“誤嚥”を起こしやすくなる恐れがあります」
誤嚥は、命取りとなる「誤嚥性肺炎」に直結するだけに、高齢者にとっては恐ろしい響きを持つ。
のどの機能が衰え、嚥下機能(飲み込む機能)や、せき込む力が弱くなるとどうなるか。
「特に問題なのは、夜間、寝ている時に口腔内細菌を含んだ唾液や、逆流した胃酸が気管に入ってしまうこと。そのことに気づかない『不顕性誤嚥』が最も深刻で、誤嚥性肺炎の一番の原因となっています」(同前)
加えて飲み込んだ食物、水分などが、誤って肺に繋がる気管に入るという、一般的な誤嚥で誤嚥性肺炎になるケースももちろんある。
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source : 週刊文春 2022年2月24日号