「今回の調査報告書には幾つも問題があります」
小誌の取材にそう訴えるのは、日本M&Aセンターホールディングスの現役社員だ。
東証一部上場の同社は2月14日、子会社で行われていた不正会計を公表。契約書の署名部分などを切り貼りし、本来より前の四半期に売上高を計上する手口が横行していたのだ。調査報告書によれば、過去5年半の不適切報告は延べ152件。そのうち、約半数の79件が「戦略統括事業部」で起きていた。

「部を管掌する竹内直樹常務取締役(当時)は、強引な取り立てや過剰融資が社会問題となったSFCG(旧商工ファンド)元幹部で、数字には非常にシビアです。13年以上トップに座る三宅卓社長の覚えもめでたく、役員報酬も1億円を超えている。調査委の聴取には『知らなかった』と関与を否定していますが、竹内氏のプレッシャーが不正を招いた面も大きいのです」(同前)
上司からノルマ達成を求められた多くの営業マンは、不正行為を「ペタペタ」や「チョキチョキ」などの隠語で表現していたという。
「こうして罪の意識が薄れていったわけですが、報告書では隠語についても指摘されていない。三宅氏や竹内氏らの“ノルマ主義”という本質的な問題に踏み込めていないのです」(同前)
そもそも、調査報告書の客観性にも疑義が生じている。取りまとめたのは、弁護士2名、公認会計士2名、社外取締役2名の6名で構成される調査委員会だが、
「弁護士2名は会社のサイトや広報誌などによく登場する人物です。会計士2名についても、M&A仲介業務で監査を行う際に顧客に紹介したりしている。つまり、付き合いの深い“身内”のような弁護士、会計士が行った調査なのです。本来なら、利害関係のない第三者が調査を行うべきではないでしょうか」(同前)
取締役陣は退任せず、部長以下への厳しい処分が検討されているという
M&Aセンターは主に以下のように回答した。
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source : 週刊文春 2022年3月17日号