東日本大震災から今年で11年となった。3月1日現在、死者は1万5900人、行方不明者は2523人。人々の心には未だ深い爪痕が残る一方、未曾有の災害を生き抜いた市民の手で、街の復興は着実に進んでいる。

宮城県石巻市にある石ノ森萬画館

石巻市——大川小の現在

 宮城県石巻市の中心部から車で約30分。新北上大橋を渡った先に、広大な北上川を望む旧大川小学校がある。あの日、児童74名、教職員10名が津波に呑み込まれ命を落とした。

 震災遺構として小学校跡地には2021年7月に「大川震災伝承館」がオープン。津波が到達した午後3時37分で止まった時計などが展示され、3・11当日の学校関係者の動きが生々しく記されている。記者が訪れた日も、小雨が降る中で駐車場にはひっきりなしに車が停まり、年齢を問わず多くの人々が集っていた。皆思い思いに校舎やプールを見学し、“あの日”に思いを馳せていた。

「昨年7月以降の累計来場者数は4万人超。今年3月11日は1日で3140人の来場がありました。今は石巻市の管轄下に置かれている施設ですが、4月からは民間の有志団体『石巻震災伝承の会』と石巻観光協会が合同で管理を引き継ぎ、同じく市内にある旧門脇小学校も震災遺構として一般公開を予定しています」(石巻市の担当者)

旧大川小学校
 

釜石市、大槌町——三陸鉄道リアス線の復活

 岩手県釜石市。東日本大震災による死者は888名、行方不明者は158名を数える。市の中心部に足を運ぶと、津波に破壊された建物は綺麗に撤去され、遊歩道は震災以前と変わりない状態まで改善されていた。豪雪地帯の岩手県にしては季節外れの暖かい陽光に包まれる釜石。若い市民が笑顔を浮かべて歩いている姿も見られた。

 釜石の隣町である岩手県大槌町に移動した。沿岸部には築浅とみられる一軒家が立ち並んでいる。2020年3月に全線開通となった三陸鉄道リアス線の傍には公園が造られていた。

 下校時刻を迎えた中高生が友人とともに楽しげに帰宅していく姿もあった。

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source : 週刊文春 電子版オリジナル