ツイッターのフォロワー数が250万に迫り、政界随一の発信力を誇る自民党の河野太郎広報本部長(59)が、3月17日にリツイートしたのは自民党広報の呟き。機関紙「自由民主」の割引キャンペーンを伝えるもので、党員・党友が5月末までに申し込めば、初めての購読に限り、初年購読料を通常の5200円から3300円に引き下げるという。
自民党と岸田文雄首相にとって、今年最大の関心事は夏の参院選だが、河野氏の関心は機関紙の部数増に向いている。そのことを示すのが、広報本部が所管する党のホームページ。真っ先に出てくるのが参院選ではなく前述の機関紙割引のお知らせだ。そのポップアップを消すと、今度は「『自由民主』インターネット版 先出しニュース」の文字が出てくる。河野氏がとりわけ熱心なのが、このインターネット版(電子版)だ。従来は紙の機関紙の記事をそのまま転載していたが、河野氏が本部長に就くや「紙の締め切りに関係なく、どんどん電子版に先行記事を出せ」と指示。昨年12月時点で電子版の登録者数は28件。河野氏は会見で「数千パーセント増」との目標を掲げ、先出しなどで読者獲得に必死だが、現状はまだ50件そこそこで2倍にも届かない。
ベテラン議員は、機関紙作成に関わる党職員から「自民党は新聞を売る会社じゃない。選挙に勝って政権を取り、日本をよくするための政党です。なのに河野氏は、部数増と電子版の成功しか頭にないようなんです」との嘆き節を聞いたと明かし、こう呟いた。
「河野氏よりも党職員の方が、よほど政治の役割を分かっている」
ちなみに電子版も定価は紙と同じ年間5200円。
「新聞の電子版も軒並み伸び悩んでいるのに、政府広報と似たり寄ったりの自民党機関紙に誰がそんなお金を払うのか」(政治部記者)
安倍・菅政権では外相や防衛相、ワクチン担当相などスポットライトを浴び続けた河野氏。昨秋の総裁選で岸田首相に大敗した後は、所属派閥の領袖・麻生太郎副総裁の意向もあって、広報本部長という軽量級のポストに就いた。
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source : 週刊文春 2022年3月31日号