「日米の通貨当局で緊密に意思疎通を図っていくことを確認した」
3月29日、ボーコル米財務次官代行と会談後にこう述べたのは神田眞人財務官(57)。前日には6年半ぶりに1ドル=125円まで円安が進行する中、1週間で5度も岸田文雄首相と面会するなど現下の円安を巡るキーマンとなっている神田氏とは、どんな人物なのか。
「人類は歴史的岐路にある」
昨夏に刊行された国際経済の専門書を、編著者の神田氏はこう書き出している。財務省内では「ぶっ飛んだキャラの宇宙人」とも評される神田氏は「メールも熱くて長い。人類、宇宙、天下国家など気宇壮大な単語が頻出する」(財務省関係者)という。
相手に鮮烈な印象を残す鋭く強い視線。会話は常に迅速で、広い額の内側で脳みそがフル回転している様が容易に想像できる。
語り草なのは2018年冬のバトル。当時主計局次長だった神田氏は、国立大学への運営費交付金を巡り、研究成果や改革実績に応じた傾斜配分枠の拡大を提唱。大学側は「毎年増減する枠が大きくなれば不安定になり研究力が落ちる」と猛反発。当時の国立大学協会長・京大学長の山極壽一氏と財務省の一室で机を叩いて怒鳴り合う苛烈な議論を重ね、主張を貫いた。
そんな神田氏が昨年就任した財務官といえば、85年のプラザ合意の大場智満氏や90年代に「ミスター円」と言われた榊原英資氏は市場介入で名をあげた。
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source : 週刊文春 2022年4月14日号