テニス王者ボリス・ベッカーはこうして脱税の常習犯になった

THIS WEEK「国際」

近藤 奈香
ニュース 国際 スポーツ

「破産したことで、とても恥ずかしかった」

 ロンドンのサザーク刑事法院で、こう思いを吐露したボリス・ベッカー(54)。かつて“ブンブン・サーブ”で人気を博した名テニスプレイヤーがいま、窮地に立たされている。

 西ドイツ出身のベッカーは、史上最年少の17歳でウィンブルドン選手権に初優勝。翌年も連覇するなど、4大大会通算6勝を挙げた。1999年に31歳で現役を引退。優勝賞金やスポンサー契約で1.3億ドル(約160億円)も稼いだとされる。引退後もコメンテーター、ノバク・ジョコビッチのコーチとしても活躍。2012年にイギリスに移住していた。

 だが17年、推定5000万ポンド(約80億円)もの負債を抱え、英法廷から破産宣告を受ける。

「数多くのビジネスに乗り出しており、インターネットのポータルサイトの運営、オーガニック食品、ドバイの19階建てのタワー計画などで失敗。最初の妻との離婚の際に2500万ドル(約30億円)という多額の慰謝料、子供の養育費などを支払うことに。その後もモナコやスイスで贅沢三昧の生活を続けた。最終的にマジョルカ島のビラのローン返済のための、英国のプライベートバンクからの借金が引き金となって破産した」(英紙記者)

 問題なのはこの後。破産宣告を受けたのにも関わらず、財産を隠匿した疑いが出てきた。

「ロンドンにある娘が住むアパートや、母が住むドイツのビラやアパートなど7軒の不動産、メルセデスの販売代理店を売却して得られた多額の現金も申告していなかった。ウィンブルドンなど9つのトロフィーや五輪の金メダルの行方も分からない」(同前)

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source : 週刊文春 2022年4月14日号

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