いま、BTS(防弾少年団)を巡って、韓国社会が二分されている。

 発端は4月2日、政権引継ぎ委員会の安哲秀委員長がBTSの所属事務所を訪問したこと。表向きは「K-POPの発展について意見交換した」ことになっているが、併せて尹錫悦氏の5月10日の大統領就任式にBTSを招待したとされる。

 就任式に著名人を呼ぶのはよくあることで、朴槿恵前大統領はPSY、金大中元大統領はマイケル・ジャクソンを招待。文在寅大統領は20年に青瓦台主催セレモニーにBTSを招いた。最終的には招待しないこととなったが、理由は「金銭不足と諸般の事情」とやや不思議なものだった。

 さらに議論を呼んでいるのが、BTSの兵役免除を巡る問題だ。

 韓国ではたびたび芸能人の徴兵問題が俎上に載せられるが、BTSは特別扱いされてきた。20年12月、兵役法改正案が国会で可決され、「大衆文化芸術分野の優秀者」は入隊時期が30歳まで延期できるとされた。この法改正は事実上BTSを対象に行われたとみられており、通称“BTS法”と呼ばれる。それゆえ今年12月に30歳になるキム・ソクジンを含め、メンバーはまだ誰も入隊していない。法改正以降、BTSは2回連続で米グラミー賞にノミネートされた。

グラミー賞にノミネートされたBTS

 兵役期間は1年半で、各メンバーがバラバラに入隊すると長期間にわたり活動が制限される。実際、東方神起や2PM、EXOは活動を停止。また兵役から戻ってきたときに、今の名声が維持できるのか未知数だ。これではK-POPの発展に冷や水を浴びせかねない。

 そこで昨年11月に持ち上がったのが、兵役法施行令改正の議論である。もともと「芸術・スポーツ分野」で特技を持ち、文化体育観光部長官の推薦があれば、事実上兵役が免除される。基礎軍事訓練を受けて、芸能活動をそのまま継続すればよい。活動停止とは雲泥の差があるのだ。

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source : 週刊文春 2022年4月21日号