開戦から1カ月半。経済制裁でロシアの国民生活は混乱し、戦況も泥沼化する中、“プーチンの戦争”は新たな局面を迎えた。ついに化学兵器使用に踏み切った独裁者。この一手は、NATO参戦、核破滅へと至るのか――。
▶︎禁断のウイルス兵器で穀倉地帯へ“焦土作戦”
▶︎数百万人の致死量新世代化学兵器を大量備蓄
▶︎プーチンが愛した 鹿の角風呂と不老不死製薬工場
▶︎中国製スマホが席捲、人民元頼み「北朝鮮への道」
その暴挙は、40年以上ロシアを研究し続ける碩学を驚かせた。筑波学院大学の中村逸郎教授が語る。
「化学兵器が使用されたことで戦況は一変します。今後、NATO軍が参戦せざるを得ない国際世論が醸成されていくでしょう。そうなればロシア軍は更なる苦戦を強いられる。プーチンが核攻撃に踏み切る危険性が一層高まったといえます」
4月11日、ウクライナ南東部の要衝・マリウポリにロシア軍のドローンが襲来。市民らを呼吸不全に陥らせる何らかの有毒物質が投下された。
「使われた化学兵器はサリンと見られます。化学兵器は核兵器と同じく、瞬時に大勢の人を殺傷する『大量破壊兵器』。既に民間人殺害などの戦争犯罪に手を染めているプーチンですが、化学兵器が及ぼす健康被害は長期的かつ甚大です。プーチンは完全に錯乱状態で、レッドラインを踏み越えたと言えます。これまで化学兵器を使用したのはシリアやイランなどでしたが、国連安保理の常任理事国であるロシアが使った衝撃は大きい」(同前)
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source : 週刊文春 2022年4月21日号