「岸田政権は何がやりたいか分からず、とにかく地味。他の閣僚も全然キャラが立たない」(ベテラン政治記者)

 キャラが立たない閣僚の筆頭格が若宮健嗣万博相(60)。ゴールデンウィークは外遊で欧州に。パリにある博覧会事務局を訪れ、デンマークとノルウェーでは大阪万博への参加を呼びかけたというが、ほとんどニュースにならなかった。

茂木派でも事務局長を務める

 外遊直前の4月26日の記者会見。担当のデジタル田園都市国家構想について「視察を重ねているが、一般の人には浸透していない」と質問され、10分間の大演説を展開。しかし、途中で「地方創生も長年、ずっと色々、名前を変えてやっているが、基本的なところは同じ」と本音を吐露してしまうなど、話せば話すほど、中身が分からず記者たちは困惑。長広舌を振るったが、当然記事にはならなかった。

「岸田首相が派閥の先輩である大平正芳元首相の田園都市構想をパクっただけ。“新しい資本主義”と同じで中身がないので、押し付けられた若宮氏もかわいそう」(中堅政治部記者)

 若宮氏は自民党本部に程近い旧永田町小学校を卒業。政治は身近で、幼い頃に70年安保のデモを目にしたという。中学から慶応で、中高はバスケットボールに励む。慶応大卒業後は、セゾングループに入社し、創業者の堤清二氏の秘書を務めた。2005年衆院選で初当選。外務、防衛の両副大臣、自民党国防部会長などを歴任し、一貫して外交安保族だった。17年に稲田朋美防衛相(当時)が日報問題で窮地に立たされた際、副大臣だった若宮氏の昇格を期待する声も省内にはあったが、当時はまだ当選3回だったこともあり見送られた。

 昨秋の岸田政権誕生で初入閣。総裁選で事実上の“岸田支持”でまとまった竹下派(当時)の事務局長を務めており、実務能力の高さにも定評があったことが幸いした。首相官邸に呼び込まれた際には消費者担当を意識して「外交・防衛の畑が多かったが、堤清二の秘書をやっていたので、消費者の観点、産業界の観点から色んなことができるとのことで、この担当分野なのだろう」と胸を張った。

 ただ、直後の衆院選では敗北し、比例復活。これまでも対立候補に肉薄されるなど選挙には決して強くない。

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source : 週刊文春 2022年5月19日号