5月4日、7日と弾道ミサイルを発射した北朝鮮。金正恩総書記も先月、人民軍創建90周年の軍事パレードで核の先制攻撃に言及するなど、他国を威嚇し続けている。だが長引く国際社会の制裁で、国民生活は一層苦しさを増している。
「中国国境の新義州市では借金を返せず、家を奪われ追い出される住民が続出。数10万人が死亡した1990年代半ばの大飢饉『苦難の行軍』の時と似た状況です」(亡命した北朝鮮高官)
特に過酷な状況に追い込まれているのが、中国やロシアに派遣されている労働者たちだ。2017年、国連安保理は北朝鮮の国外派遣労働者を24カ月以内に送還するよう決議した。だが実際は中国やロシアの黙認の下、働き続けている。
「中でも中国に出稼ぎに行かされている労働者は多く、縫製士だけでも18万人。瀋陽市、延吉市、丹東市など東北三省におり、多くが女性で、平均年齢は24歳です。中国と北朝鮮の合弁会社と契約をし、1カ月の給与は3500元(約6万9000円)ですが、彼女たちの懐には1000元(約2万円)しか入らない。差額は北朝鮮当局に支払われる」(同前)
そんな彼女らを追い詰めたのが新型コロナだ。20年1月、北朝鮮は感染拡大を防ぐため、中朝国境を封鎖した。それゆえ契約終了後も北朝鮮に帰れず、彼女らは極限状態に陥った。
「ただでさえ外出も禁止された団体生活を強いられ、粗末な食べ物で働かされている。もちろんインターネットも禁止。延吉市の縫製士の中には、8年間も勤めている女性もいる」(亡命者)
その結果、病気や労働中の事故で亡くなる労働者が続出しているという。
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source : 週刊文春 2022年5月19日号