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戦争で過去最高益の三井物産 手放しで喜べないのはナゼ?

THIS WEEK「経済」

森岡 英樹
ニュース 経済

 大手商社が“我が世の春”を謳歌している。

 三井物産が5月2日に発表した今年3月期決算。純利益は前年比約2.7倍の約9147億円で、それまで過去最高だった約4344億円(12年3月期)の2倍を上回るほどの絶好調ぶりだ。

「鉄鉱石や石油、石炭など資源価格の高騰や、コロナ禍からの経済活動の再開が大きく利益を押し上げました」(市場関係者)

 ただ、同社が2月3日に発表した純利益予想は約8400億円だった。その時点から、700億円以上も上乗せできたのはなぜか。

「戦争です。2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以降、原油やガスの値段が一層上昇した。円安が加速したこともプラスに働きました」(同前)

 そもそも三井物産は以前から“資源一本足”と称されるほどで、三菱商事などと比べても資源事業への依存度が高い。12年3月期には純利益の約9割を資源が稼ぎ出していた。ところが資源バブルの崩壊を受け、16年3月期に初めて最終赤字に転落する。

「この反省から、安永竜夫前社長時代に計約7000億円に及ぶ減損・撤退損を引き当て、事業構造の転換を進めようとしました。ただ、ブラジルでの穀物事業などでは苦戦。後任の堀健一社長もヘルスケア事業に力を注ぐなど資源からの脱却を図ってきましたが、依然として資源が収益の6割前後を占めています」(同前)

昨年4月に就任した三井物産の堀社長

 結局、事業転換の遅れが、歴史的な好業績に繋がったわけだが、

「三井物産が出資するLNG事業、サハリン2などが懸念材料です。撤退は否定していますが、ロシア国債の格付け低下に伴い、209億円の損失を計上。戦争の展開次第で損失は更に膨らみかねません」(同前)

 一方、昨年3月期に純利益で商社トップに立った伊藤忠商事。三井物産や三菱商事とは異なり、非資源商社だが、今年3月期決算の純利益は前年比2.1倍の8300億円程度と見られる。原動力の一つが、高成長を遂げる中国市場だ。

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source : 週刊文春 2022年5月19日号

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