開戦から2カ月半、苛烈さを増す「プーチンの戦争」。侵攻開始のはるか前から何度も連載コラムで取り上げてきた池上氏が語った注目すべき点。そして、意外な面々が名指しされた「ロシア入国禁止リスト」の裏側とは――。

 

 小誌連載をまとめた「独裁者プーチンはなぜ暴挙に走ったか」(5月16日発売、電子版は先行発売中)を緊急出版したジャーナリストの池上彰氏(71)。じつは池上氏は2014年から、プーチンの干渉で緊迫するウクライナ情勢を頻繁に取り上げてきた。池上氏がプーチンを“徹底解析”する。

 

 まさか、21世紀にこんな戦争が起こるとは――。今回のウクライナ侵攻には大きな衝撃を受けました。

 しかし、ロシアをめぐって「今の時代にこんなことが」と衝撃を受けたのは、これが初めてではありません。最初の出来事は14年。プーチン大統領がウクライナ領だったクリミア半島にロシア軍の特殊部隊を派遣し、あっという間に奪ってしまったときでした。

 じつはクリミア半島には以前から注目していました。それは、帝政ロシア時代からの要衝・セバストポリ軍港があるからです。

 ソ連は長年の間、ここに黒海艦隊を駐留させていました。ところがソ連が崩壊してウクライナが独立国となると、ソ連の黒海艦隊の帰属をめぐり、ウクライナとロシアの間で対立が起きた。結局、1997年5月に結ばれた協定により、ロシア海軍とウクライナ海軍に“分割”されました。

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source : 週刊文春 2022年5月19日号