そのリストには、小誌編集長の名が含まれていた。
「編集長もお喜びのことと思います。私は家族と乾杯しました」
こう語るのは筑波学院大学教授の中村逸郎氏だ。5月4日、ロシア外務省が発表した「入国禁止リスト」63人の末尾には、同氏の名も記されていた。
このリストはロシアへの制裁措置の報復として発表された。岸田文雄首相を筆頭に松野博一官房長官や林芳正外相ら関係閣僚、与野党の政党幹部らが名を連ね、メディア関係者や研究者も含まれる。同様のリストは米国や英国に対しても数百人ずつ公開されており、ハリス米副大統領やメタ(旧フェイスブック)最高経営責任者のマーク・ザッカーバーグ氏もリスト入り。
ただ日本に対しては今回が初の措置で、詳しい理由の説明もなく一方的にリストが公開されただけに、その人選が憶測を呼んでいる。
「メディア関係で『狙い撃ち』されたのは社長、専務、論説委員ら最多の4人がリスト入りした産経新聞。他の研究者も、同紙の『正論』に寄稿した人がリストアップされている印象です。必ずしもロシアの専門家ではない神谷万丈氏(防衛大学校教授)や櫻田淳氏(東洋学園大学教授)が入っているのはそのためでしょう」(筑波大学教授の東野篤子氏)
小誌と並んで雑誌媒体からリスト入りしたのは会員制月刊誌の「選択」。ウクライナの緊張が高まる以前から毎月のようにロシア問題を取り上げ、プーチンの家族や側近の私的な部分も含む記事を掲載していた。発行人の湯浅次郎氏は「発行人として誇らしく思います」とコメント。
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source : 週刊文春 2022年5月19日号