サッカー部コーチによる暴行事件が発覚した、熊本県八代市の私立秀岳館高校。同校を運営する学校法人八商学園の理事長も務める中川靜也校長(91)が、「週刊文春」の取材に応じ、監督を事実上、“更迭”していることを明かした。
200名以上の部員を擁する強豪、秀岳館高校サッカー部の事件が発覚したのは4月20日。30代のコーチが3年生の男子部員を殴り、蹴る動画がSNSで拡散されたのだ。だが2日後、部員の“顔出し謝罪動画”がアップされ、暴行を受けた部員らが「部内の暴力は日常茶飯事」という報道を否定。20年以上、部を率いる段原一詞監督(49)はテレビで「謝罪動画は部員が自発的に撮り、関与していない」と釈明したが……。
「後に流出した部内会議の音声では『被害者は俺』と発言。謝罪動画も監督の指示のもと撮影されたことが判明したのです」(地元記者)
5月5日、学校側の会見で、段原監督は「暴力行為を見たことがない」とした上で、自らの進退については明らかにしなかった。だが中川校長はこう明かす。
「実は、内部的にはもう監督は替わっています。保護者からも『あの監督のもとではやれない』との声が相次ぎ、10数年やっているコーチに監督代行を頼んだ。段原はサッカー部から外します。ウソをつき、世間を騒がせたし、自己擁護が目立ちすぎる。本来は自分から身を引くのが筋です」
「辞職させることは難しい」校長の弁明
問題の動画については、「生徒がやったように説明してきたが、(実際には)彼が指示して、させていた。そのウソがばれた。それは世間も許せないし、俺も許せない」とする中川校長。しかし段原氏はサッカー部監督であるとともに同校の教員でもあり、校長補佐も務めてきた。サッカー部からは外せても、教員としての責任を取らせることは難しいのだと語る。
「監督を外すのは校内人事なので私の一存で決められるが、教員として解雇するのは難しい。当然、役職は全て外しますが、本人の暴行などは確認されておらず、解雇理由がない。本人も『解雇したら(不当解雇などの)裁判にかける』と」
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source : 週刊文春 2022年5月19日号